Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Amitostigma lepidum in Orchid Show.

オキナワチドリ「紅蜻蛉」。某所の洋蘭展にて。 拝見させていただいて、少々驚いた。これを育てている方がいたのかと。 この「紅蜻蛉」という品種は、今は亡き師匠が20年ぐらい前(だったか、正確には記憶していない)頃に野生個体群から選別命名したもので…

野生種と園芸種の比較

Wild form, Okinawa island, Japan. オキナワチドリ沖縄本島型。研究者の方から標本用サンプルを分けてもらったもの。 画像個体の自生地点はかなり荒廃していて、数える程度の個体数しか無いらしい。近交弱勢が進んでいるのか性質は非常に虚弱。3年間育てて…

Amitostigma lepidum 'blotch form'

seedling. オキナワチドリ実生。 最近は業者が販売している大点花実生の混合ポット苗の中に、この程度の個体が普通に混じっている。一昔前であれば命名品種になっていたと思うが、現在の基準では名も無い実生の一つにすぎない。 しつこく何度も書いているが…

Amitostigma lepidum 'Narrow lip'

seedling. オキナワチドリ細弁花実生。選別交配を重ねて意図的に唇弁を細くした系統。前回(1月24日)の個体と出発点は同じだが、あちらは唇弁を豊かにする方向で選別を重ね、上画像の個体は反対方向に選別を進めてみた。両極端の形質に二極化させていくの…

Amitostigma lepidum

seedling. オキナワチドリの開花が始まった。画像はイワチドリに似た個体。 高温期が長い沖縄では、いわゆるチドリ類はほとんどすべて栽培できない。それゆえ沖縄でも育てられるオキナワチドリの存在価値は高い・・と思っていたのだが、小型野生蘭の栽培経験…

Viola utchinensis

from Okinawa island, Japan. オキナワスミレ、学名ウチネンシス。ウチナー(沖縄の現地発音)本島の一部地域のみに局所分布する希少種。自生地は崖地で、管理人のように足元の危なくなった年寄りだと、案内人に手を引いていてもらわないと足をふみはずして…

ムカゴサイシンの種を播いてみた

Nervilia nipponica from Okinawa island, Japan. in flask propagation. 沖縄本島産ムカゴサイシン、フラスコ実生。某研究者が研究材料として採集してきた果実を強奪し、サヤの中に入っていた種子を培養したもの。 bloom in flask. フラスコ内での開花。沖…

Amitostigma hybrid.

Amitostigma lepidum X Ami.pinguiculum. オキナワチドリ大点花(冬緑性) × 中国大花チドリ(春~夏生育型)。昨年の画像と別個体。 この個体の出芽時期はオキナワチドリとほぼ同時期(個体によって差があり一斉には咲かない)だったが、出芽後にすぐ開花す…

Habenaria rhodocheila complex hybrid.

Hab.rhodocheila complex 'Small Flower' X (aff.militaris X (rhodocheila X other rhodocheila)) ハベナリア・ロドケイラ種群内、4系統を使った交配個体。丈夫で分球率の高い小輪個体に、比較的花色の良い個体をかけてみた。花型はあまり良くないが、花色…

Utricularia exoleta

from Okinawa island, Japan. ミカワタヌキモ。沖縄本島中部の保全湿地のもの。 ミカワタヌキモは沖縄県レッドデータでは絶滅危惧Ⅱ類の希少種。特に沖縄本島では湿地そのものが開発でほぼ消滅しているので、湿地性植物を見られる場所がものすごく少ない。知…

Flowerpot of Okinawa.

By N. Kobashigawa@Okinawa pref, Japan. 沖縄本島・壷屋の永〇窯で作られた山野草鉢。口径(鍔を入れて)105㎜、内径80㎜。描いてある魚は錦鯉のような色だが、背びれが2枚あるので沖縄産海水魚のハタかもしれない。 作者はシーサー作りの名工として知られ…

Habenaria Jiaho Yellow Bird

Habenaria rhodocheila(orange) X Hab.medusa ハベナリア・ロドケイラ×メデューサ。管理人交配個体。 ロドケイラ系とメデューサの交配は各国で散発的に作出されている。サンダーズリスト(ラン科植物交配登録)では、ロドケイラ×メデューサは台湾の佳和蘭園 …

Lilium callosum var. flaviflorum

from Okinawa island, Japan. キバナノヒメユリ。ヒメユリの黄花ではなくノヒメユリ(スゲユリ)の黄花変種。漢字で書くと「黄花の姫百合」ではなく「黄花・野姫百合」。まぎらわしいのでキバナスゲユリと呼ぶ人もいる。 背が高くて倒伏しやすく、ススキ草原…

Cardiandra amamiohsimensis

from Amami island,Kagoshima pref., Japan. アマミクサアジサイ。奄美大島の渓流沿いに自生する奄美固有種。 クサアジサイ属は本土から沖縄、中国南部、台湾にかけて分布する東アジア特産属。本土のクサアジサイ、西表島のオオクサアジサイにはアジサイっぽ…

Habenaria rhodocheila complex hybrid.

Habenaria xanthocheila X Hab. erichmichaelii. ハバナリア・キサントケイラ(黄色)X エリミカエリ(ピンク)。 色がやや淡いことを除けば、ロドケイラ種群のオレンジ個体群とほとんど区別がつかない。オレンジは赤系と黄色系の重ね色だと解釈して良いのだ…

Ligustrum tamakii

from Yonaguni island, Okinawa pref, Japan. トゲイボタ。沖縄の一部離島に自生するモクセイ科の常緑低木。 海岸や山地の風衝地で地面に張り付くようにして育つ。盆栽樹としてなかなか秀逸な樹種だが、樹幹が古びにくく短期間で風情を出すのが難しい。越冬…

オオミズトンボ販売開始

Habenaria linearifolia seedling, by A.G.Y. Nursery. オオミズトンボ。 昨日のオオスズキサギソウ(仮称)と同じ場所で栽培されていた。某業者さんが北関東産の個体から実生増殖し、数年前から販売している系統だそうだ。 オークションで転売されて数万円…

オオスズキサギソウ(仮称)

Pecteilis radiata X Habenaria linearifolia サギソウ X オオミズトンボ(別名サワトンボ)。某植物園のバックヤードで撮影。沖縄では自然気候下で栽培できない植物の一つ。 サギソウとミズトンボの交配種であるスズキサギソウ(Pectabenaria Yokohama: Pect…

Vanda falcata(Neofinetia falcata)

from Daito insl. Okinawa pref. Japan. フウラン。販売業者の話では、沖縄県大東諸島産の個体から実生増殖したものとの事。 沖縄のフウランは琉球王朝時代から園芸目的で採取されつづけ、現在はほぼ野生絶滅に近い。しかし栽培下では相当数が生存しているよ…

Spathoglottis X parsonsii (with Thrips.)

in Orchid show. スパソグロティス・自然交雑種パーソンシー。某蘭展にて撮影。 フィリピンで常緑種コウトウシランSpathoglottis plicata と落葉種Spa. vanoverberghiiの混生地に見つかるランだそうだ。ただし栽培流通品は日本のエビネと同様に交配親が判然…

Lobelia loochooensis

from Amami island, Kagoshima pref., Japan. マルバハタケムシロ。奄美と沖縄に分布する希少種だが、沖縄本島ではすでに絶滅したと聞く。 冬期に加温が必要(最低でも10℃くらい。短期間の低温には耐えるが、周年生長型で、低温で生長が止まった状態が続くと…

Luisia teres var. botanensis

from Yonaguni island, Okinawa, Japan. タカサゴボウラン。与那国島産の親個体から実生増殖したという苗を、沖縄本島の洋蘭業者からまとめて購入した。今年になってほとんど全部が開花したが、花はどの株もおおむね似たような感じ。 購入したものの中で一番…

Cirsium brevicaule

in Okinawa island, Japan. シマアザミ。本土に分布するハマアザミの沖縄型。 白花は珍しい・・と本土の方は思うようだが、沖縄本島の個体群はほとんど全部が白花。ネットで情報収集してみたところハマアザミ類は本州から九州、奄美までは淡紅色~ピンク色が…

Staurochilus luchuensis

in Orchid show イリオモテラン。某蘭展にて。 日本国内に自生する着生蘭の中では最大級の種類。自生地は石垣島と西表島、尖閣諸島の魚釣島、台湾、フィリピンなど。(フィリピンのものは別種とする場合もある) 琉球王朝時代から園芸用に採取され続け、沖縄…

Nostoc commune

本日のテーマは陸棲藍藻のイシクラゲ。自生写真がグロ画像に近いので最後に回し、サムネイル表示用に「沖縄島豆腐のカプレーゼ」の画像を貼っておく。 美しい花の画像を見に来た、という方は今回の記事はパスして次に行きましょう。 ということで本題。 イシ…

Ajuga pygmaea

in Okinawa island, Japan. ヒメキランソウ、沖縄本島植栽。 九州南部から沖縄、台湾に分布する多年草。大輪で見栄えの良い系統が増殖され、グランドカバープランツとして販売されている。選別品は沖縄各地で植栽されているが、野生の地味な個体はほぼ絶滅状…

Bletilla hybrid

Tri-Lips unknown hybrid. シラン系交雑種・酔白・三蝶咲き。作場の枯れ鉢の中から生えてきた自然実生だが、これと似た品種を栽培していた記憶が無い。 交雑種が親だと実生後代で形質分離し、いろいろな色や形の子供ができてくる。そのため外見的特徴から親…

Bletilla striata 'Tri-Lips'

seedling from Nursery. シラン三蝶咲き。花弁が唇弁化した突然変異個体で、初めて発見された時にはマニア達が大騒ぎだった。当初は超希少品で、入手したければ業者に予約して順番待ちしなければならなかった。その後に増殖が進み、現在ではホームセンターな…

Peperomia jaonica

from Okinawa island, Japan. サダソウ。画像個体は日陰栽培で少々徒長している。 和名は鹿児島県佐多岬(さたみさき)で見つかったことによるという。公式な名前はサダソウだが、由来から考えてサタソウと呼ぶのが適切のように思われるし、実際にそう記載さ…

Tuber of Diuris alba

seedling's new tubers. 試験的に掘りあげてみたディウリス・アルバの球根。しなびて茶色くなっているのが昨年度の球根、白くてみずみずしいのが今年できた新球根。あまり作上がりはしていないようだが、作落ちもせず現状維持という感じ。地生蘭の中には開花…