Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Viola utchinensis

from Okinawa island, Japan.

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オキナワスミレ、学名ウチネンシス。ウチナー(沖縄の現地発音)本島の一部地域のみに局所分布する希少種。自生地は崖地で、管理人のように足元の危なくなった年寄りだと、案内人に手を引いていてもらわないと足をふみはずして命を落とすらしい。それゆえ、まだ自生個体を見に行ったことがない。

が、栽培下での増殖が容易で、山野草業者が手頃な値段で苗を販売しているため入手は難しくない。スミレは一般に短命で、種類によっては開花して体力を消耗した時に暑さに耐えられなくなって、夏を越せずに枯れてしまうこともある。しかし本種は性質がしぶとくて暑さによく耐え、毎年きちんと植え替えすれば長期維持も難しくない。閉鎖花で勝手に種子ができるので近交弱勢とは無縁だし、実生育成も簡単。凍らせなければ本土でも無加温で越冬できるようで、日本産有茎スミレの中では最も維持しやすい部類ではないかと思う。

ただ、草姿に比べて花が若干小さめで色も淡く、外見的には地味なタチツボスミレという感じでインパクトに欠ける。そのため園芸的には評価がそれほど高くない。まあ、一般基準ではスミレマニアのコレクトアイテム以上のものではないような気がする。

 

spur

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横から見た画像。沖縄には非常に良く似たシマジリスミレが分布していて、売品だと混同されていることもある。文献によれば、花の後ろに突き出ている部分(距:きょ)の形で識別できるそうだ。

が、管理人は正直なところ自信を持って識別できない。中間型で判別に苦しむ個体もあると聞く。流通品は同一の親から殖やされているらしく、どこの栽培品を見ても似たような感じなのだが、自生地の画像を見るとけっこう個体差があるように思われる。管理人は専門外なので、特徴についての論評は避けておく。

 

leaf

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葉の基部が開くのがオキナワスミレ、基部が閉じてオーバーラップしているのがシマジリスミレだそうだが、これも生育環境や個体差によってかなり異なるようだ。