Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

・沖縄の植物

大正期・沖縄工芸の植物装飾(後編)

前編からの続き。 琉球古典焼の壺。 (狭義の)古典焼が作成されていたのは大正から昭和初期(戦前)の数十年だが、作成記録などがまったく残されていない。そのため作者や窯元、作成年代をピンポイントで確定するのは難しい。 この壺の意匠はバナナの木では…

大正期・沖縄工芸の植物装飾(前編)

flower vase, 100 years ago. made in Tuboya, Okinawa, Japan. 100年ほど前に沖縄本島・壷屋地区で作られた花瓶。 本土の骨董商から「ヤシの木の壺」として入手したもの。 こちらは別の骨董商から入手した同時代の壺。植物に詳しい方ならすでにお判りだろう…

アマミアセビ

Pieris amamioshimensis from Amami island, Japan. アマミアセビ。奄美大島の固有種。管理人宅の玄関横の植栽品。 沖縄本島産のリュウキュウアセビと同種とされていたが、2010年に遺伝子解析の結果から別種とされた。沖縄と奄美の動植物はDNAデータからは別…

歳を報せる蘭

Cymbidium sinense var.alba from Amami island, Japan. ホウサイラン素心(そしん)。通称、白花ホウサイ。 中国の旧正月(2022年は2月1日)頃に開花することから「報歳蘭」という呼び名がついたという。日本だと花期は少し遅れることが多い模様。 いわゆる…

オキナワギク

沖縄菊 Aster miyagii 奄美・沖縄固有種、絶滅危惧Ⅱ類 画像は沖縄本島の北部、東海岸産の個体。 東海岸の岩場ではわりと普通に見かけるが、西海岸での分布はきわめて局所的。というか西海岸は開発されまくっていて健全な自然植生が残っている海岸自体がもの…

マツバランの「実生」

from Okinawa island, Japan. 沖縄本島産マツバランの「実生(みしょう)」苗。6年前に書いた記事の個体だが、あれからずいぶん大きくなった。 マツバランは小分けにして生育を押さえると2号鉢に収まる程度の小苗に留まるし、大鉢植えにして肥料を効かせると…

Rhododendron tashiroi

サクラツツジ。沖縄本島・国頭村にて。 高知県、九州南部から奄美、沖縄、台湾にかけて分布するツツジ。国頭村の村花。 花は美しいが、樹形が間延びしやすく鑑賞栽培にはあまり向いていない。そのため斑入りなどの変異個体以外はほとんど苗が出回らない。 ま…

海マリモ

沖縄島固有の希少植物、クビレミドロ Pseudodichotomosiphon constrictus 海藻の一種だが、緑藻でも紅藻でも褐藻でもないクソ珍しい植物。知人は海マリモと呼んでいるが、マリモとは縁遠い。 絶滅が危惧されているため人工培養法が研究されているが、報告書…

日本産の野生ランを育てるのは犯罪です

こちらが法律で販売・譲渡が規制されている生物種のリスト(2020年時点) https://www.env.go.jp/nature/kisho/pamphlet/pdf/kokunaikisho.pdf (下:2023年、改訂版を追記) https://www.env.go.jp/content/000113583.pdf 環境省は、絶滅が危惧されている動…

Calanthe X dominyi ?

in Orchid show 夏咲きエビネ系の何か。某所の蘭展示会にて。コロナウイルスの影響で、展示会というものが存続できるかどうか怪しい。 画像は俗に「琉球エビネ」という流通名で呼ばれている植物。花色が良いが耐暑性に乏しいオナガエビネと、耐暑性のあるツ…

New Book

沖縄産イネ科ハンドブック。欲しい方は絶対欲しい、いらない方はタダでもいらないという二極分化した反応の出る書籍。管理人は前者。 いやもう見るからにつまらない。誰が買うんだこんな本。誰得っていうか俺得。こういうニッチな本が出てしまうところが日本…

Spiranthes sinensis var.sinensis

from Okinawa island, Japan ナンゴクネジバナ。沖縄本島では本土のネジバナと同様、芝生に生えている。一般的には花弁の先端のみがほんのり赤く染まる、いわゆる「口紅咲き」の個体が多いが、画像個体は比較的濃色で本土のネジバナとほとんど区別がつかない…

Farfugium japonicum var. luchuense

from Okinawa island, Japan. リュウキュウツワブキ。奄美大島、沖縄本島、西表島に分布するツワブキの渓流型変種。つまり増水時に葉がちぎれたりしないように、葉型が小さく細くなったツワブキである。 斑入りや葉変わりなどの選別個体が栄養繁殖されて流通…

ヨナグニイソノギク(ヨナクニイソノギク)

Aster asagrayi var.warkeri from Yonaguni island, Okinawa, Japan. ヨナグニイソノギク。(環境庁の資料ではヨナ「ク」ニイソノギクだが、現地の地名発音がヨナグニなので当ブログでは意図的にヨナグニと書いている。) 平成31年度に特定第一種国内希少野…

何これ

unknown in Yomitan village, Okinawa island. ススキっぽい何か。沖縄本島、読谷村にて撮影。 印象としてはススキの種子が穂から脱落せずに発芽している、という感じなのだが、穂の形自体が変形しているようにも見える。あるいはヤグラネギのススキ版という…

Spiranthes sinensis var. sinensis?

from Kunigami village, Okinawa island, Japan. ナンゴクネジバナっぽい何か。沖縄本島国頭村、9月3日撮影。 画像だと純白花に見えるが、実物は花弁がうっすらとピンクに発色している。花序は無毛。 形態的にはナンゴクネジバナなのだが、ナンゴクネジバナ…

Ranunculus ternatus var.lutchuensis

cultivate in Okinawa island リュウキュウヒキノカサ。沖縄本島の某所で栽培されていた個体。 喜界島から沖縄諸島にかけて局所分布する植物で、環境省カテゴリーでは絶滅危惧1Aの希少植物。栽培自体は簡単なのだが、見てのとおり非常にショボい 侘びた佇ま…

Sophora tomentosa

in Habitat. Okinawa island, Japan. イソフジの花。沖縄本島中部、東海岸にて。 熱帯域の海浜に自生するマメ科の低木。日本では奄美大島が分布北限らしい。 葉に海水をはじく短毛が密生して銀色に見え、ビロード調の手触りである。鉢植えにするには少し大き…

Scutellaria rubropunctata

from Amami island, Japan. アカボシタツナミソウ、紅一点花風。奄美大島産。 アカボシタツナミソウは屋久島から沖縄本島にかけて分布する、琉球列島固有種。耐寒性があり、本土でも強く凍結させなければ屋外でも越冬する。花がそこそこ綺麗で栽培も容易だが…

Okinawan traditional Citron

left: Citrus unshiu / center: Citrus oto / right: Citrus depressa 左はウンシュウミカン、つまり普通の蜜柑。中央は沖縄在来種のオートー。右は本土でも知名度が上がってきたヒラミレモン、沖縄名シークヮーサー。 オートーは沖縄在来柑橘の中では一番ポ…

Selaginella lutchuensis

in habitat. Okinawa island, Japan. ヒメムカデクラマゴケ。沖縄本島中部にて。 コケという名前だが、シダの一種。国産種で言うとイワヒバやカタヒバと同属だが、ものすごく小型で目立たない。分布域は鹿児島県南部以南(ネットでは八丈島にも分布している…

ダイサギソウは栽培不可能(異論は認めない)

Habenaria dentata ’Hakuho-zhishi'(White Phoenix) from Okinawa island, Japan. ダイサギソウ「白鳳獅子」系。沖縄本島で見つかった変異系統。亡き師匠が発見者から譲り受けた個体がオリジンだそうで、管理人は師匠から種子を分けてもらって無菌培養で育成…

Aster asa-grayi

in habitat, Okinawa island, Japan. イソノギク。奄美大島、沖永良部島、沖縄本島に分布する。海岸の岩場で見られるが、自然海岸が破壊されつくした沖縄本島では、まとまった個体数が見られるのは天然記念物指定の景勝地、万座毛の風衝植生地域ぐらいしか無…

Juniperus taxifolia var. lutchuensis

from Okinawa island. 管理人宅植栽、オキナワハイネズ雌木・・だと思うが、本土産のハイネズと酷似しており、正直なところ同定には自信が無い。 20年以上前に沖縄本島北部の海岸に自生していた個体から果実を採ってきて、自宅で実生育成したもの。なので自…

Leucas mollissima var.chinensis

from Okinawa island, Japan. ヤンバルツルハッカ。沖縄本島産。画像個体は管理人の作場で雑草化していた個体で、若干日照が少ないため葉が長くて色が濃い。海岸で潮風と直射光に当たっている個体は黄緑色の葉で肉厚で毛深く、別種のような印象になる。 トカ…

Vanda lamelata

in Orchid show, Okinawa island. コウトウヒスイラン。沖縄本島の某蘭展にて。 コウトウヒスイランは台湾の紅頭嶼(こうとうしょ。現在の蘭嶼(ランユー)島)に自生する翡翠蘭(バンダ属の和名)という意味。日本国内で唯一のバンダ属と言われていたが、フ…

Asarum caudigerum

in habitat. Nakijin village, Okinawa island, Japan. オナガサイシン、別名カツウダケカンアオイ。自生地にて撮影。 自生地はハブの巣窟で、足場も悪いので案内人無しで行くと簡単に死ねる。 観賞価値はそれほど高くないと思うのだが、カンアオイ類はコレ…

Aristolochia liukiuensis

in Habitat. Okinawa island, Japan. リュウキュウウマノスズクサ。沖縄本島北部にて。 ウマノスズクサ類は独特の個性ある花を咲かせるので、好き嫌いが分かれる。海外の同属には巨大な花を咲かせる種類もあり、日本でも少数ではあるが苗が流通している。 ア…

Dicranopteris linearis

in habitat. Okinawa island, Japan. コシダ。北限は福島県となっているが、どちらかというと南方系のシダ。亜熱帯地域に広く分布する。 沖縄本島では北部の山地で大きな群落が普通に見られる。葉が密生して地面を覆い尽くし、枯れた葉や茎は分解されにくく…

Malaxis purpurea

from Okinawa island, Japan. 沖縄本島産のオキナワヒメランという説明のもとに、知人から種子をもらったラン。無菌培養で育成して開花させた。沖縄には酷似したカンダヒメランM.kandaeというランもあると言われているが、ネットで検索してみてもオキナワと…