from Yonaguni island, Okinawa, Japan.
タカサゴボウラン。与那国島産の親個体から実生増殖したという苗を、沖縄本島の洋蘭業者からまとめて購入した。今年になってほとんど全部が開花したが、花はどの株もおおむね似たような感じ。
購入したものの中で一番多かったのが上画像のような花。唇弁にリング状の模様があり、唇弁先端だけが緑色になる。
おそらく同一の親から採種した実生姉妹だろうから学術サンプルとしては不適切で、「これがタカサゴボウランの標準タイプである」と言うことはできない。が、ネットで画像検索しても似たような花が多いように思う。
こちらは唇弁のリング模様が不明瞭で、唇弁先端の突起がやや短い。
こちらは唇弁先端の突起がほとんど無い。これらの差は個体ごとに固定しているようで、同一株には同じような花が咲く。ただし、咲く時の気候によって年ごとに花の模様などに若干の変化がみられるような気がする。(観察例が少ないので確信が無い)
こちらは緑の模様が強く出たタイプ。出現率は低かった。
ベタ一色より、模様が入ったほうが面白味がある気がする。
本土のボウラン、沖縄本島のボウラン、八重山のタカサゴボウラン、台湾のタカサゴボウラン・・若干の差異はあるが、外見的には同種内の変異の範疇ではあると思う。むろんDNA解析したら完全に別種だと判断されることも十分ありうるが。
分布が広くて個体群ごとに明確な違いがあっても、区別されずに一括して××ランという扱いになっていると地域変異は見向きもされない。ところが学者先生が区別し、独立種として名前をつけるとマニアのコレクション対象に昇格し、値段が一気にはねあがる。
偏見かもしれないが、野生ラン趣味家には栽培を通じて個体ごとの「個性」を理解していくことには興味がなく、図鑑の名前を見ながら生体コレクション遊びをするのが目的の方が多いように思える。コレクションなので「日本産のラン」という縛りを自分で勝手に設定し、沖縄産のランは欲しがるのに台湾産のランは見向きもしなかったりする。
本種も一時はコレクトアイテムとして高額で売買されていた時があり、金銭目当てで自生地が荒らされるのではないかと危惧された。が、幸いにして一部のマニアだけの需要に留まったようだ。沖縄で実生苗が生産されていることも知られるようになったためか、最近ではネットオークションなどに出ても無競争で落札されているようだ。
こういうマニア向けのランは希少性が薄れると栽培者が大事にしなくなり、いつの間にか消えて無くなってしまうことが多いので、あまり値段が安くなるのもそれはそれで問題なのだが・・