Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

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"BRUTUS" 15/07/2019

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雑誌「ブルータス」ビザールプランツ特集4(3は総集編だったので実質パート3)

ファッション系雑誌なので、承認欲求を満たすアイテムとして植物を飾っている方が一部登場しており、モヤっとした気分にさせられる(苦笑)

とはいえ執筆者の多くは特定ジャンルでは大御所と言える方々、あるいは新進気鋭の注目に値する園芸業者達である。「よくもまあこれだけのメンバーを集めたな」という感じで括目すべき内容となっている。園芸雑誌が「しがらみ」によって硬直した内容になってしまっている昨今、旧態依然の停滞した園芸業界に対して、良い意味で喧嘩を売っている感じである。是非はともあれ、昭和の野生植物狂乱時代の熱気を思い出すものがある。

栽培マニュアルと銘打っているが、ページ数の関係で総論(としては非常に良い内容なのだが)しか書かれていないため総合的に見れば業者の販促カタログ以上のものではない。というかファッション雑誌でかっこいい自動車の解説記事を読んで、その車の運転ができるようになれるなら苦労はいらない。そもそもこの本に載っているのは運転免許どころかF1ライセンスやパイロット免許を必要とするレベルの草が多いのだが、育てるための覚悟、あるいは生き物を扱う「資格」(とでもいうべき資質)について一切語っていないところは良くも悪くもファッション雑誌である。(他の園芸書籍がファッションで無いとは言っていない)

「(植物の栽培は)ゲームでレベルが上がっていくのに近い感覚で、自分のスキルが上がっていくのも楽しいですよ(p45)」まあ嘘は言っていない。ゲーム廃人と呼ばれるくらいやりこむか、ガンガン課金してSSR栽培アイテムを揃えないとヒロインが死亡するクソゲー 特殊なゲームである事を一言も説明していないだけである。新規参入者を取り込むための広報として実にあざとい たいへん効果的な語り口である。これが人工増殖苗で全需要を満たしている商売であったならば、おおいに夢を語って現実問題に触れない方向でも実害は無いと思うのだが以下略。

同じビジュアル系でも初心者向け特集を組む時に、まず野生種に関わる者の責任のありかたを教えこもうとする説教雑誌、ビバリウムガ○ドとはある意味で対照的である。

が、掲載されている自生地写真などには鼻血モノの画像が数多く、何も判っていない無垢な一般人を泥沼に引きずり込もうとする邪悪な意志を感じる それだけで一見の価値はあるだろう。

つーかY先生が育てたオフリスの画像とか、S先生が画像提供した腐生植物の解説とか、こんな企画を立てた奴ちょっと出てこい。ふざけんなもっとやれ。