Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Ranunculus ternatus var.lutchuensis

cultivate in Okinawa island

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リュウキュウヒキノカサ。沖縄本島の某所で栽培されていた個体。

喜界島から沖縄諸島にかけて局所分布する植物で、環境省カテゴリーでは絶滅危惧1Aの希少植物。栽培自体は簡単なのだが、見てのとおり非常にショボい 侘びた佇まいの植物であるため、かなりの物好き 数寄の心を理解する趣味人だけがその魅力を理解しうる野草である。(普通だったら後ろに写っている植物のほうを紹介するのだろうが、今回は触れない)

リュウキュウヒキノカサは産地ごとに変異があるようで、それらをすべて同一種として良いのかどうかは今後の研究を待つことにしたい。ちなみに管理人宅で栽培している系統は下記のようなもの。

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こちらは花が一回り大きく、花弁数が多い。産地は不詳だが、過去に変異品種として報告された個体群のものだと思われる。

リュウキュウヒキノカサの一品種ヤエリュウキュウヒキノカサ(新称)」(2004)

http://phytogeogratax.main.jp/site/wp-content/uploads/2018/01/JPT52_1_89-1.pdf

 

ラナンキュラスと言えばRanunculus asiaticusの園芸(八重咲き)品種が春に大量流通している。あれはあれで美しくはあるが、原種のasiaticusが持っている清楚な魅力とはまったく別方向に進化した花である。

というか、asiaticusは乾燥地域の花なのでちょっと多湿にするとあっという間に腐ってしまう。日本国内では長生きさせるのが難しく、ほぼ100%が短期間のうちに消耗品として消えていく。まあ園芸生産品なのでそれで問題は無いのだが、まともに育てられないのは少々寂しい気がする。

だが最近は日本の気候風土に合った品種を新たに交配育種する試みも始まっている。商品名を出すとステマ扱いされそうなので控えるが、適地であれば花壇植えも不可能ではない品種が作出されて全国への流通が始まっているようだ。リュウキュウヒキノカサのように耐暑性・耐湿性に優れた原種を交配親に使ったら面白いのでは?と思ったりもする。とはいえ育種というのは10年単位で時間がかかる仕事なので、この年になるともう自分でやってみる時間は無いのだが。