Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Tubers of Amitostigma pinguiculum.

2nd Years tubers of flask propagation.

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中国大花チドリ。異株交配実生、無菌培養2年目。生育が遅いので発芽してから2サイクル培養しないとフラスコから出せる大きさにならない。

 

1 Year after deflask. harvested 91 small tubers. select big tubers and cultivate next year.

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ビン出しして1年。小さい苗でも分球して多数の新球根が得られるが、ごはん粒以下の大きさのものも混じる。ビン出しした時よりも大きくなっている球根はそれほど多くない。全部を育てる余裕は無いので心を鬼にして整理する。

捨てるぐらいなら誰かに進呈すれば?とか気楽に言ってくださる方がおられる。それをすると雨避けもせず消毒もせず植え替えせず温度調整せず肥料もやらず屋外に放り出しておいて衰弱死させたクソ 方が、悪気など微塵もないまま、聞いただけで気分の悪くなる虐待過程を、おかげさまで楽しめましたと言いながら、頼みもしないのに、わ、ざ、わ、ざ、報告に来てくださる。それも一人や二人でなく、栽培自体はどうでも良く共通体験を持ちたい娯楽消費者しか存在していない事が判明する。

人の説明をいっさい聞かずに適当な育て方をしておいて、この草は気難しくて駄目ですねと言いながら無邪気に笑いかけてくる・・あの絶望感を繰り返すぐらいなら自分の責任で処分したほうがましである。

ほとんどの方にとって趣味は他人とのコミュニケーションツール、話題に加われるかどうかが重要で、内容や質は求めていない。そういう学びを得て「人を選ぶ草」の種苗生産はもう辞めた。

上手な人だけ選んで渡せって?・・きちんと管理して丁寧に栽培する性格の方は、ラン科などという面倒なものには手を出したがらない。栽培能力が高くなればなるほど枯らす危険率(それを回避するために必要なコスト)が高いことを察知して避けるようになる。経験上「殖えたらわけてください」と言ってくる方はほぼ例外なく(以下略)

上画像の球根を大きいものだけ植えつけた。開花時には葉はまだ小さく、花後にもっと大きく広がってくる。イワチドリに比べると葉が薄く軟質で、雨に当てたりすると一発で腐って溶ける。自生地は少雨乾燥地ではないのに、どうやって生きているのか不思議になる。

自生地画像を見ると、断崖に生えているので葉が濡れても水滴は全部下に流れてしまい、風通しも良いので蒸れる事が無いのだろうと推測している。(あくまで想像であり、根拠は無い)

もしかすると温暖地で着生種のヒナチドリを育てる時のように「浸み壺」などを使って着生状態で吊り作りにしたほうが自然なのかもしれないが、本種は地下でストロンを伸ばして新球根を作るので植えっぱなしだと生育に不適当な位置に移動してしまう。それゆえオキナワチドリと同様、草玉作りの素材には向いていない。

 

普通は全個体を花が咲くまで育てて良い花を残していくのだが、誰も育てられない事が判ったので品種改良は中止し、実生苗はサンプル栽培に留めておく事にした。

というか、原資個体が少なく再入手も難しい生物の場合、特定の形質だけを残して選別していくと血が濃くなりすぎて「ハプスブルク家の呪い」のような事になる。(メダカやハムスターのように近親交配しても問題ない生物は例外として)鑑賞価値だけに注目せず、可能な限り多種多様な血統を手元に残しておかないと継代できなくなる。

(まあ、本種は比較的個体寿命が長く栄養繁殖もするので、個人栽培だけで終了させるつもりなら、ハベナリア類や落葉性リパリスのように実生更新が必須では無い)

ちなみにチドリ類の山木(やまぎ:野生採取株)は狭い自生地内で近親交配が進んでいる場合が多いようで、自家受粉種子だとまともに育たない場合がしばしばある。それなのに昭和時代に採集された古い銘品は個体寿命? で栄養繁殖力がガタ落ちしたものが続出しているようで、今後どうやって維持していくか案じられているようだ。

 

余談だが、過去に国内入荷した時の販売株は1花以下しか咲かないサイズが普通だった。自生地画像でも花が一つしか咲いていない場合が多かったので、最初は単花性のランだと思っていた。

がっつり肥培して何年か作り込むと見違えるほど大きくなり、5~6花まで咲くようになるが、ほとんどの人はそういう状態になる前に全滅させている模様。

2 Years after deflask.

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フラスコ出しして2年目。大花チドリは花付きが悪く、ウチョウランのLサイズ球根ぐらいになっても1花しか咲かないか、葉だけで花が咲かないことも珍しくない。

 

mature tubers.

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 これぐらいのサイズになれば複数の花が咲くが、当地での栽培は楽ではない。関東以北では自然気温で問題ないようだが、当地では夏の暑さがきびしくなると落葉休眠してしまうので球根が肥大しにくい。秋に2ヶ月ほど冷蔵庫内で冷やして休眠打破し、冬のうちに発芽生長させて生育期を長く保つようにすると順調に育つ。