業務連絡:こういうのが咲くそうな

((サギソウ標準花 X 「八月(はづき)」) X シブリング)=実生「その1」

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側花弁が唇弁化した「二蝶咲き」で距が2本ある。愕片は2枚のみ、唇弁が欠損している。花粉、柱頭、子房が退化しており結実しない。

 

こちらが祖父にあたる品種、「八月(はづき)」の画像リンク

http://www.sansoukai.com/bukai/ran/20140808/20140808.html

http://prototroph.web.fc2.com/article/plant/orchidaseae/list/list-sagisou/list-sagisou.html

「八月」は側花弁が唇弁化した「二蝶咲き」と呼ばれる奇花で、子房が退化しており種子ができない。きわめて虚弱な品種で、絶種していないのが不思議なくらいである。花粉も通常は欠落しているが、稀に花粉形成する事があり、花粉親として使う事は必ずしも不可能ではない。

だが「八月」を花粉親にした場合、F1(交配実生第一世代)は100%普通の花が咲くのだという。

下が実際に育成されたF1実生(シブリング実生達の母親)の画像。本土の某業者から販売されたものだが、「八月」の血統であることをうかがわせるような特徴はまったく無い。

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しかし、このF1実生同士を交配(自家受粉も可能だが、子供が弱体化するので別個体との交配が望ましい)すると、F2(交配実生第二世代)において約4分の1の割合で祖父と同じタイプの奇花が出現するのだそうだ。今回の画像は某所で撮影してきた、そのF2実生達である。

 

実生「その1」分球クローンの花。上の花を実生すると下画像のような「八月」タイプの花が咲く個体が、隔世遺伝で出てくるわけである。

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実生「その1」3番目の花。

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一見すると普通の花に見えるが、よく見ると萼片が2枚しかなく、花粉塊が左右に2個ずつある。じつは上画像と同個体の花が1蝶咲きで咲いたため、唇弁の重みで花が横向きになっている状態なのである。まあ、言われなければまず判らない。

ちなみに真祖の「八月」も非常に花の構造が乱れやすく、花ごとに違う形になる性質がある。

 

F2実生「その2」。唇弁が欠損し、不完全な二蝶咲き・左右不対称。距は1本。花粉はあるが柱頭と子房は退化している。

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実生「その2」2番目の花(上下逆に咲いたので画像を反転してある)

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F2実生「その3」。不完全な二蝶咲き。距は2本、萼片2枚、唇弁欠損、花粉あり、柱頭と子房は退化。

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どの個体も鑑賞的には首をひねる感じの妙な花だが、「遺伝性がある奇花」という存在はなかなか面白い。

後代の奇花出現率からみると、奇花形質は劣性(潜性)遺伝と考えて良いのだろうか?ここからさらに交配を重ねて検証していく必要があるだろう。

 発現形質に相当なバラつきが見られるので、さまざまな交配親を使って大量に後代実生を育成すれば、美的な個体が出現する可能性もゼロではないかもしれない。F1実生を入手なさった本土の方は、ぜひ試してみていただきたいものである。