Chloraea chrysantha in flask

seedlings

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クロラエア・クリサンタの無菌実生苗。気温が下がってきて夏期休眠から目覚めた。親個体については過去記事参照。

栽培・繁殖に関するデータはしっかり収集できたが、結論としてはこれも(管理人の基準では)栽培不可能種である。ネジバナのように短命で、実生増殖しないと維持が難しいランだからだ。だったら実生しようと口で言うのは簡単だが、別血統の入手が至難なので近交弱勢の壁を越えるのは容易でない。

まあ、Chileflora社から10年に一度くらいリリースされる現地採取種子を何度も輸入して、多数の血統から構成された繁殖個体群を立ち上げ、血統を記録しながら定期的かつ計画的に交配し実生更新していく…というところまでやるなら継続的に維持することも可能ではあろう。しかし、5年に一度しか咲かない、咲いたら高率で枯れる、観賞価値もいまいち…という植物をそこまでして維持したいと思う栽培家はいない。(断定) ガチで取り組む気概が無く、一株だけのお気軽栽培で満足していれば長期的に見れば消費栽培しかできない。

思うに、栄養繁殖だけで普通に維持できるようなランならば、バイオ技術が存在しない時代から園芸化が進められ、すでに古典園芸化しているはずなのだ。さらにバイオ増殖が一般化してからも園芸化されていないランは、山採り流通・消費栽培の段階から先に進めるには労力がかかりすぎる、つまり園芸普及させる上で何か致命的な問題がある植物だと考えたほうが良い。そういうものにあえて手を出すのは何もわかっていない馬鹿か、あるいは悪人か狂人であろう。(管理人含む)

ウチョウランエビネの栽培にしても、業者の実生増殖による量産体制(裏を返せば、興味を持つ人が数多く現れたことによる、増殖業が成り立つほどの継続した大量消費活動)が成立するまでは山盗り消費栽培の代表例であり、自然愛好家から憎悪されている趣味だった。ウチョウランエビネの園芸化は業者実生による飽和供給・ウイルス未感染苗への入れ替え更新がなければ不可能だった。もし栄養繁殖だけで維持を試みていたとしたら、流通量が乱穫消費に追いつかず、野生個体は趣味家にすべて食いつぶされて消滅していただろう。増殖業者が現れなかったら今頃は国内希少種(販売禁止)に指定されて、栽培対象にできなくなっていたかもしれない。

昭和時代の野生ラン趣味家なら絶対に野生植物の乱穫消費に加担しているはずだが、その頃の話は黒歴史として誰もが黙して語らない若い人達は、当時の趣味家がやらかした壊滅的な無駄栽培について、古老から聞き出しておいたほうが良いと思う。今おこなわれている山取り輸入栽培を考える時、反面教師になるはずだから。

いずれにしても営利生産に不向きなランは、個人栽培でどれほど見事に育てても、いくら殖やしても最終的には「後継者がおらず、何一つ残らなかった」という結果になってしまうことが避けられないのではあるまいか。もしそうだとすれば、それは大局的に見ると「栽培できない」のではないかと思う。