'Kunjyan-no-homare'
wild correct in Higashi Village, Okinawa island, Japan.
オキナワチドリ野生選別個体「国頭の誉」(くんじゃんの ほまれ)。国頭(くにがみ、くんじゃん、くんざん)は沖縄本島北部地域のこと。亡き師匠が20年以上前に選別増殖した品種。
「くにがみの ほまれ」「くんざんの ほまれ」と呼ばれることもあり、紹介文献によって振り仮名が異なる。師匠の存命中に「どれが正しい読み方ですか?」と尋ねたことがあるが「どれでもいいさー」という「てーげー」(アバウト)な回答だった。
管理人は師匠の発音は「くんちゃんの ほまれ」に近かったと記憶しているが、沖縄の地名や人名はいろいろな読み方や発音が共存している場合が多い。あえて「正解」を一つに決めないのが正解なのかもしれない。「日本」の読み方はニホンでもニッポンでもヒノモトでも間違いではない、みたいな。
これが日本春蘭の登録品種「日本の花」ならヤマトノハナで確定だが、登録制度の無い植物種ではそういう「正解」は決めづらい。余談だが沖縄固有種のカタツムリ「国頭巻々」の学術記載名はクンチャンマイマイだが、「国頭胡麻貝」はクニガミゴマガイである。
花のアップ。野生個体と思えぬ円弁花で、草丈が伸びにくく、性質は比較的丈夫で増殖率も良い。かつては「(野生由来の)円弁花としては最大級の賛辞を与えてもなお余りある銘花中の銘花」(「山野草マニアックスvol.2」特集オキナワチドリ、2001年出版)とまで評価されており、大輪系の交配実生のほとんどにこの品種の血が入っている。ウチョウランで言えば「仁王」のような存在。
並物以外で何か育ててみようか、という時にチョイスされる代表的品種なので、育てている人もそこそこいるようだ。しかし花色などが比較的地味で、一般園芸家に対するアピール性に欠けるため新規の栽培参入者が少ない。
またオキナワチドリの場合、大輪系はきちんと世話しないと花が痩せ細って並花と大差なくなってしまうという欠点があり、うまく作りこなせないと栽培する意欲が失せて、そのまま枯らしてしまう人もいるようだ。そのため古い品種ではあるが今一つ普及していない。
採集地がはっきりわかっており、同一個体群から採集された個体も現存しているので生育域外保全の視点から見ても価値のある個体だと思うのだが、これから先も栽培維持されていくかどうかは判らない。
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