Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

中国大花チドリ(通称・商品名)

Amitostigma pinguiculum

from China.

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 大花无柱兰。通称、中国大花チドリ。

 産地は中国浙江省、標高250~400m。自生地の緯度と標高は、屋久島や奄美大島の山地に相当する。

 夏緑性だが芽出しが早く、暑さが続くと葉が枯れて休眠してしまうなど春植物に近い性質を持つ。

 オキナワチドリと同じようにストロンを伸ばして新球を作るので、毎年必ず植え替えて新球根を生育に適した深さに戻しておく必要がある。イワチドリのように草玉作りにして何年も放任することはできない。(余談だが、ウチョウランは新球根が大きく移動することはないが連作障害が出やすく、基本的には毎年の用土更新が望ましい)

 中国産のチドリ類はほとんどすべてが高山性で、日本本土でもアツモリソウが花壇で普通に育つような地域でないと生かしておくことさえ難しい(というか性質自体に癖があるらしく、北海道でも長期栽培できたという話は聞いていない)が、夏眠する本種だけは例外的に栽培可能。

 とは言っても植物体が軟質で腐りやすく、ウチョウランやオキナワチドリを普通に作りこなせるスキルが無いと長期維持はできない。過去に相当数が輸入販売されたがほとんど全部が消費栽培されてしまい、現在では国内に数える程度しか栽培者がいないようだ。

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 大花チドリと呼ばれるだけあって、花は一般的なチドリ類よりずっと大きい。未改良の野生個体でこのサイズである。

上画像と別個体。こちらは少し色が薄い。

さらに別個体。花型も個体差がある。

こちらは濃色のタイプ。夜間に冷え込みが強いと色濃く発色するようだ。

 

今後はもう再入荷がなさそうので、複数の親株をキープして人工増殖を試みている。

 

flask propagation

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 異株交配、無菌培養2年目。培地はイワチドリなどと同様で問題ないが、完熟種子には強い休眠があって発芽させづらい。管理人は交配後30日頃の未完熟種子を播種している。

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