Arisaema heterocephalum subsp. okinawense.

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オキナワテンナンショウ、果実および同一個体の雄花。

栄養状態が良いと雌花が咲くが、交配して結実させると体力を消耗して翌年は雄花になるか、管理が悪いとそのまま枯れてしまう。種子が完熟するのは翌年の花期になるため、途中で腐って倒れたりしないよう神経を使う。

 花は地味で、近縁のアマミテンナンショウのほうが園芸的価値ははるかに高い。本種を苦労して殖やすぐらいなら他種を増殖したほうが喜ばれる。それゆえ人工増殖している業者はいない。

稀に野生採取個体が流通するが、そんなものを気軽に入手して消費栽培すれば野生絶滅に加担することになる。愛好家は栽培下にある個体を交配採種して殖やさねばならぬ・・と言いたいところだが、栽培者が少ないので交配相手にできる別系統個体を見つけるのが難しい。栽培者を見つけても自分の株とは開花時期が合わなかったり、性別が合わなかったりする。ものすごく一部のマニアは栽培下で増殖させているので、それをわけてもらって複数の血統を集め、自分の手元で繁殖用個体群を立ち上げることから始める必要がある。

 本種は冬緑性なので、沖縄ではともかく、関東以北では室内保護しないと越冬が難しい。場所をとるので複数個体を育てたがる人は稀だろうから、本土での増殖にはあまり期待できない。さりとて沖縄であっても積極的に増殖している人はほとんどいない。一株だけサンプル的に育て、ダラダラと飼い殺し(育て殺し)にする。そのうちに飽きて他人に渡し、渡された人はさほど興味も無く手抜き栽培、2年で枯らして終了。多くの場合そんな結末が待っている。

 「私はきちんと育てています」それはまだ枯らしていない、というだけの話。世代を超えて栽培を引き継ぎ、増殖普及させていくことができないならば、個人レベルで何十年も育てることに成功しても、最終的にはただの消費栽培だ。3日で枯らしたか、30年で枯らしたかの時間差があるにすぎない。

この株を100年後まで残せるか。薔薇なら100年前の品種はいくらでもある。残せないとすれば、その理由は何か。いくら努力しても園芸植物にはなりえない、野生採集・消費栽培しかできない植物なのか。もしそうだとすれば、そういうものを栽培し、記事にすることは粋な趣味とは言い難くなっているのではないか。

商業生産されていない希少植物は、栽培すること自体を犯罪視される時代になっている。将来的には商業販売実績が無い絶滅危惧種は、どれも「種の保存法」の指定種になり、入手すると逮捕されてしまうようになるのかもしれない。いや、冗談抜きで環境省はそういう方向に動きつつあるのだ。

*2017年追記:予想通り、本種は平成29年度に特定国内希少動植物種に指定された。所持・栽培は禁止されていないが、許可証を持つ業者以外から入手することは違法となった。