Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Diuris alba

from Australia.

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ディウリス・アルバ。白花変種ではなく、そういう学名の基本種。

オーストラリア原産の冬緑性地生蘭で、某業者からまとめて購入した。

 

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こちらは唇弁の斑紋が少ないタイプ。側愕片が長い。

 

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こちらは唇弁が全体に染まるタイプ。側萼片が比較的短い。

 

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 全体像。葉はスゲの葉のように細く、薄くて軟弱なうえに一株に一本か二本しかついていない。少し傷めたら即アウト。

 雨に濡らすと腐る。凍らせれば枯れ、かといって温度を上げすぎても機嫌が悪くなる。風に吹かれるとすぐ倒れるが、密閉して蒸らしても駄目になる。空気循環のある低温温室内で、葉に支えをつけて管理するしかない。

 ディウリス属には比較的栽培しやすい種類もあり、そういうものは国内でも何年も作りこんで分球させ殖やしている人もいる。が、この種類は繊細すぎて、印象としては長くつきあうのが難しそう。

 光合成能力も高くなさそうで、おそらく本来は共生菌への依存度が高いランだと思われる。そういう種類は鉢栽培だと生存しているのがやっとの状態だったりするので、開花させると体力を使い果たして枯れることが多い。休眠する頃に鉢をあけてみたら、開花した個体は消滅しているかもしれない。

 

 * 2020年追記。5年たつが今のところ継続して栽培できている。いきなり枯れたり腐ったりすることは予想より少なく、想像したよりもはるかに栽培しやすかった。しかしほとんど分球しないため長期的には実生増殖しないと維持は難しそう。

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 ということで交配してみた。種子は完熟しても休眠・発芽抑制がおきることはなく、乾燥して冷蔵庫保存しておくことも可能。

 ちなみにシブリング交配であれば稔性は良く、無菌培養も容易。発芽・生育共に良好で培養難度は園芸種のウチョウランと同程度。(ちなみに野生ウチョウランの完熟種子は難発芽で、発芽させるのにコツが要る。園芸ウチョウランより1~2ランク難度が高い)

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 フラスコ内で新球ができたら、親株の葉が枯れた時点でビン出しすれば馴化処理は特に必要としない。(意味が判らない方はそのまま読み飛ばしていただきたい。このへんの話は説明するとものすごく長くなる)

 ただし国内流通品は同一ロットの種子から育成された実生姉妹だそうで、近交弱勢をおこさずにずっと継代が続けられるかどうかは不明。(ウチョウランなどもセルフ実生を重ねていると後代で発芽・生育率が極端に低下してくる)

 本種は世界的に見ても流通量が少ないようで、完全な異系統を入手するのは難しいと思われる。

*2022年追記。

 ほとんど殖えないが、環境が合えばそれほど育てにくいものではないようだ。作上がりすると草丈80cmに達することが判明した。

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