Kaempferia sp.
Wild collect, from Chiang Mai, Thailand.
タイ産のショウガ科バンウコン属の不明種。知人から2年前に分与してもらった株の初花で、仮称ケンフェリア・マイクロミニ。
当ブログはラン科&沖縄植物をテーマにしており、なおかつ野生採取個体は基本的に紹介しないことにしているのだが、本種に関しては萌えざるをえなかったので例外として載せてみた。
画像の状態は花が少ししぼみかけているようで、知人の話によると最上の状態では愕や花弁(実際には花弁に見えるのは形状変化した雄蕊らしい)がもっと伸び、よりランの花に似ているという。
バンウコン属は国内では薬草として加工品が若干出回っている程度で、鉢物はほとんど売られていない。というのも花は午前中に咲いて昼過ぎにはしぼんでしまい、普通に仕事をしている人間には咲いているのを見ることさえできないからだ。今回の画像はたまたま日曜日に開花したので撮影できたが、非常に花がつきにくく次に見られる機会はいつになるのか判らない。もしかしたらこれが最初で最後かもしれない。
この属には葉に美しい地模様の入る種類がいくつかあり、ピーコックジンジャー(クジャクショウガ)の名前で観葉植物として栽培されているものもある。タイなどでは庭園のグランドカバーとして植栽されることもあるらしい。だがどの種類も葉が手のひらサイズ以上になるようで、ラン科のコリバスといい勝負ができるような小型種があるという話は検索してもまったくヒットしてこない。
調べた範囲ではKaempferia gilbertii やangustifolia に似ているが、そちらは葉長10㎝を超える植物なので、本種とは少なくとも同一視はできない気がする。正確な名前がお判りの方がいらっしゃったらご教授いただきたい。
参考:タイおよびラオスの19種のケンフェリアの比較研究
性質にコリバスのような気難かしさはないようで、耐暑性にも問題はない。沖縄であればテラリウムなどで湿度管理する必要もなく、常温常湿で普通に栽培できるようだ。冬には落葉し、細根も枯れてほとんど根茎だけになって休眠するため越冬管理も楽である。本土でも冬期に室内で保温すれば、温室のない趣味家でもおそらく栽培できると思われる。またショウガ科の常識に準じて年に2倍か、それ以上に増殖する。ただし花付きが極端に悪いので一般園芸向きとは言いがたい。ちなみに植物体をいじると、ショウガ科特有の刺激感のある香りが感じられる。