Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

南アフリカの地生蘭(某所で売ってます)

Satyrium erectum

from South Africa

 サティリウム・エレクタム。画像個体は日照不足でだらしない姿になっている。真の姿は画像検索されたし。(下方リンク、パシフィック・バルブ・ソサエティのサイトに自生地画像あり)

 南アフリカの小雨地域に自生する冬緑性の球根性地生蘭。花は桜餅のようなほんのり甘い香りがする。耐寒性は低いので本土では温室管理が必須だが、それほど高い温度は要求しない。雑な言い方をすれば、好適環境はオキナワチドリと極端な差は無い。

 南アフリカ産の多肉植物の管理温室がジャストフィットするが、地生蘭は栽培が面倒臭いので多肉屋は手を出さない場合が多い。さりとてラン屋だと「着生種・熱帯種用のムレムレ高温室」か「東洋蘭・夏緑性温帯蘭に合わせた低日照の越冬場」あるいは「屋外」しか選択肢が無い場合が多く、中間温度帯で冬緑性のランは置き場所に困るようだ。

 そういうわけで性質自体はそれほど弱くはないのだが、育てている趣味家は非常に少ない模様。また、ほとんど分球しないので栄養繁殖のみで長期維持していくのは本質的に難しい。

 種子の無菌培養は(事前に情報を知っていれば)簡単。日本国内で栽培例のあるサティリウム属はほぼ全種、現地採種種子を輸入して国内で培養育成されている。本種は開花サイズの苗もごく少数のみ流通しているが、1株だけ購入して自家受粉で殖やしても近交弱勢の壁がある。定期的に輸入して系統数を増やしていかない限り、日本国内で維持していくのは困難だと思う。

↓参考サイト

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