Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Habenaria unknown hybrid

probably,

Pectabenaria Rapee Sagarik (Pecteilis susannae X Habenaria myriotricya=medusa)

X Hab.??

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ラベル間違いで入荷した正体不明のハベナリア(おそらく交配種ラピー・サガリク)が自然結実していたので試しに播いてみた実生個体。

www.orchidroots.com

(追記:片親がmyriotrichaだとRapee Sagarik、medusaだとWow's White Fairiesとしてサンダーズリストに登録されている模様。しかし管理人にはmyriotricyaとmedusaの見分けがつかない。本当に別種なのか調べてみたが判然としない)

ハベナリア交配種は(ごく一部の例外を除いて)極端に稔性が低く、セルフ交配だとほぼ不稔になるので近くにあったハベナリアのどれかと虫媒交雑したのだと思うが、正確なところはよく判らない。

不稔に近い交配種でも正常稔性の原種個体の花粉をつけてやると、非常に低率ではあるがF2個体が作出できることがある。日本でも3元交配種がいくつか作出されているが、稔性が低いうえに着生蘭と比較すると種子量がものすごく少ないので、後代実生の量産が難しい。そのため数多くの実生の中から優良個体を選びながら交配育種していく、という洋蘭で常識的に行われている手法が、不可能とまでは言わないがあまり現実的ではない。

そうなると(言い方は悪いが)「交配してみたらこんなもんができました」という、血統書付きの犬のミックスを思いつきで作ってみました的な、ブリーダー視点で見た場合「目標が何も無い、好奇心で混ぜ合わせてみただけの交配」にならざるをえない。

というか、ミックス犬なら同種交配なので本気でやれば後代選別して新品種育成も可能である。むしろネコ科一代雑種のレオポンとかライガーを作って見世物にしています、野生種保存って何それ美味しいの、みたいな感じだろうか。

この個体は鑑賞価値から言うとかなりの優れ物ではあるのだが、個体寿命の短いハベナリアの場合、仮に良いものができても「はい枯れました終了です、実生もできないので次はありません」という流れになる。不稔でも栄養繁殖だけで半永続的に育てられるジャンルの交雑種(山野草系に限っても、良いものがかなりある)なら話はまた別なのだが、管理人としてはハベナリアに関しては交配種なんか作ってもなあ…と思ってしまうわけである。

そもそも今の時期に咲いている時点でおかしいと思っていただきたい。休眠してないのである。冬期最低25℃育成である。沖縄でも温室必須、こんなもんは熱帯アジアで育てるべきものである。本土で育てる?本土ならサギソウが育てられる気候なんだから素直にサギソウ育ててやがれこんちくしょー、無駄だ、こんなもん作っても無駄だ無駄だ無駄無駄無駄無駄だだだだだだだ、はーはーぜーぜー(興奮による息切れ)

最近は東南アジアでもいろいろな交配種を作っているようで、交配親を伏せて新種ハベナリア(正確には新種でなく新交配種と言うべきもの)として販売していたりする。ハベナリア交配種の大部分には母体として交配親和性が異様に高いHab.medusaが使用されているので、サギソウっぽい切れ込みのあるハベナリアを見た時にはメデューサ系交配種だと思って良いと思う。