Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Zizyphus mauritiana

Indian Jujube fruits, cultivate in Okinawa island, Japan.

delicious.

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インドナツメ。インド原産の果樹で、最近になって沖縄で栽培されはじめた。生産量はまだ少ないようで、観光客の来る土産物店の高級フルーツ売り場などでしか見かけない。けっこう良い値段で売られている。

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沖縄で生産されている品種は小ぶりのプラムぐらいの大きさ。中心に種が1個あるがプラムのように薄くはなく、ピーナツを大きくしたような円筒形。

皮は薄く、洗って皮ごとサクサク食べられる。リンゴをジューシーでなめらかな舌触りにした、あるいは少し固めの洋ナシからザラザラした食感をすべて除いたような感じ。リンゴと同様に生産者によって味の当たり外れがあるようだが、おちついた甘みと、ほどよい酸味があって食べやすい。

亜熱帯果樹だが、霜に当てなければ越冬できるようだ。本土でも柑橘類の営利栽培ができる地域なら(品質はともかく)栽培可能ではあろう。沖縄であれば気候的には露地栽培でまったく問題ないはずだが、実際には鳥害が激しいのでハウス栽培しないと駄目らしい。

台湾ではインドナツメは重要な農業生産品になっているようで、品種改良も盛んに行われている模様。台湾の果実直販サイトを見ると、「薄皮優選!爆汁!清香甜蜜!幸福的滋味!」と売り手の熱気がムンムンである。味は判らないが、青リンゴと見間違えるぐらいの巨大果もあるようだ。

青棗新品種:高雄11號「珍蜜」http://www.jujuba.tw/wp-content/uploads/2015/03/IMAG7355.jpg

台湾には大害虫のミカンコミバエがいるため、果実類の日本への輸入は一部を除いて禁止されているが、今年から低温殺虫処理をする条件でインドナツメの輸入が解禁になった。

台湾産インドナツメ、日本へ輸出可能に 7年越しで実現 | 社会 | 中央社フォーカス台湾

今後は本土のスーパーなどでも見かける機会があるかもしれない。

・・ただ、沖縄産も台湾産も、販売には苦戦しそうな気がする。日本人は青い果物というものになじみが薄く、赤くないと売れゆきが悪い。真っ赤なドラゴンフルーツは味的には辛味の無いダイコンと大差ないが、外見だけでスーパーで売られるまでに定着した。(追記:日本で売られている輸入品は日持ちする状態のうちに収穫しているので甘くないが、優良品種を樹上で割れるまで完熟させたものは別物と言えるほどトロピカルな香りで甘いらしい)

一方で味覚的にはフルーツの中でも上位に属すると思われるフェイジョアホワイトサポテ(どちらも緑)は「何それ?」と言われるぐらい普及していない。まあ、緑色のイチゴが売っていたら買うか?と考えていただければ想像がつくだろうか。

(2022年追記。その後シャインマスカットの台頭でこの常識が破られた模様)

インドナツメは味覚的には優良果実だと思うし、沖縄の新しい産物になってくれれば良いのだが。