Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Habenaria lindleyana

from Thai.

f:id:amitostigma:20151104102604j:plain

ハベナリア・リンドレヤナ。散発的に少数が輸入されて流通しているが、入手しにくい。

栽培難易度は熱帯系ハベナリアとしては普通。生育適温が30℃以上なので、生育期間中に25℃以下にならないようにするのがコツ。実生する場合はハイポネックス培地で育苗可能。

・・とあっさり書いてみたけれど、11月に開花している=結実して落葉休眠するまでまだまだ時間がかかるという事。判り易く言えば1月に最低25℃をキープできる設備を持っていないと、生育途中で強制的に休眠させることになるので作落ちしてしまう。

そこまで加温しなくても大丈夫でしょう、などと思っている人はタイのバンコクの気温グラフを検索して見ていただきたい。1月の平均気温が26℃、3月の最高気温は36℃。36℃って体温ですか?・・てか、こういう国の植物だと25℃でも最高温度が全然足りない。3月から生育適温(30℃以上)まで上げて管理できる日本人が何人いるだろうか。

というか、熱帯アジア産のハベナリアは実質的には周年生育型で、冬の乾季に乾燥対応のため一時的に地上部を枯らす生育サイクルがある、と思ったほうがよい。日本産のランのような「休眠する」という意識で管理すると痛い目を見る。

とはいえ仮に加温設備を用意できるとしても、それを維持するのに必要な光熱費はおいくらか。しかも着生蘭や園芸種地生蘭とは異なる、野生地生蘭を育てるスキルを持っていることが前提。

育てられたとしても個体寿命がそれほど長い植物ではないので、実生更新しないと長期維持は困難。しかも近交弱勢が激しいので多系統の親株を用意しないと交配実生がうまくいかない。

散発的に日本に輸入されているが、長期栽培に成功しているという話は聞いたことがない。まあ、栽培条件を考えれば日本で育てないためにあるような植物である。

こういうのは一般論としては、栽培不能種って事で良いと思うのですが。