Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Phyllanthus leptoclados

from Okinawa island, Japan.

f:id:amitostigma:20151029113739j:plain

ハナコミカンボク。沖縄島のきわめて限定した場所に自生する超珍種の低木。以前、自生が見たくて探しに行ったが、案内人がいなかったので見つけきれずスゴスゴと退散してきた。画像は沖縄の愛好家からもらった苗から採種実生した個体。

画像は開花中だが、見てのとおり花が小さすぎて咲いているのが判らない。しかも草姿は、いわゆる雑草のコミカンソウと酷似している。知らない人は抜いて捨ててしまうだろう。

どう見ても観賞価値がある植物ではないのだが、なぜか隠れたファンがいるらしく、かなり稀ではあるが苗の販売も見かける。自生地は植物採取禁止なので苗が売っているのはおかしな話なのだが、実生が容易なので採種してきて栽培下で増殖されているようだ。ちなみに自生個体はサンゴ石灰岩に根が食い込んでいて、盗掘しようとしても物理的に無理らしい。

 

f:id:amitostigma:20151029113752j:plain

葉の拡大像。葉の下に小さい花がぶらさがっている。上から見ても咲いていることに気づかない。

 

f:id:amitostigma:20151029113814j:plain

雌雄異花で、葉の先端に数輪の雌花が咲いて結実する。(上画像)

管理人の栽培棚では、虫のこない室内でも、生育適温下であれば特に交配しなくても種子ができている。

 

f:id:amitostigma:20151029113822j:plain

こちらは下から見た雄花群。アップで見るとなかなか美しいが、実物はケシ粒大。老眼だと花があるのかどうかもよく見えない。

一応は樹木ということになっているが、個体寿命は短いようだ。成木になって数年経過し、だいぶ老成してきたと思っているとあっさり枯れる。園芸上は短命な多年草と考えるのが妥当。

こぼれた種子から勝手に苗が育ってくるような植物なので、きちんと次世代を育てていけば系統維持はそれほど苦労しない。根が少なくどちらかといえば移植を好まないので、こぼれ種を掘って移植するよりも、鉢にきちんと播いて育てていくほうが成績は良い。また周年生長型で寒さが苦手。沖縄でも冬になると葉がバラバラ落ちて調子を崩す。短期的な低温であれば落葉するだけで済むようだが、冬の長い本土では温室に入れておかないと春までに力つきてしまうことが多いそうだ。