Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Amitostigma lepidum 'Ayakumo'

from Okinawa island, Japan.

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オキナワチドリ斑入り「綾雲」。今は亡き管理人の師匠が、20年ほど前に選別した品種。品種名は琉球王朝時代の古謡集「おもろさうし」収載歌からの引用。

この品種は芽出しが比較的早い。出芽時から斑が発色しており、落葉するまで不明瞭にはならないのが長所。しかし葉が薄くて傷みやすく、開花時以降は黒いシミができたり葉先から枯れてきたりする。花は小さく平凡なので、芽出し時に観葉植物として楽しむための品種と思われる。

オキナワチドリの銘品は、雑誌などに発表されて長年経った品種でもほとんど普及していない。斑入りの「沖の輪」のみ斑入り山野草業者がコンスタントに販売しているが、それ以外はほぼ絶種に近い状態。この品種も稀にオークションなどに出てくることはあるが、流通量は非常に少ない。増殖率は悪くないのだが、きっちり世話しないと短期間で作落ち(栽培中に衰弱)する、手間のかかる品種だからだろう。

完全放置してもそう簡単には枯れないセッコクやフウランであれば、途中で育てるのに飽きたとしても、貰い手が見つかるまで株が残っている。(それゆえ古典園芸として残っている)

しかし小型地生蘭は生育期間中に一週間放置されれば、そのままお陀仏。栽培者が病気で入院したりすれば即時アウト。元気であっても特別な思い入れが無い人だと、数年たつと世話を続けるのが面倒になって手抜き栽培になり、植え替えをさぼっただけで簡単に全滅してしまう。消費的に栽培されている植物は、業者が継続的に生産供給しない限り(つまりゼニカネになる草でなければ)園芸化する可能性は無い。