Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Habenaria hybrid

Habenaria medusa X Hab.dentata 'Hakuho-Jishi'

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ハベナリア・メデューサ X ダイサギソウ獅子咲「白鳳獅子」系。

 ダイサギソウの「獅子咲き」(側萼片が唇弁化する変異形質)はサギソウの「飛翔」と同様に優性遺伝する。種間交雑実生の場合にも画像個体のように交雑第一世代で獅子咲きが出現する。

 余談だが「飛翔」は獅子遺伝子と標準花遺伝子のヘテロ個体なので実生の獅子咲き出現率は約50%である。「白鳳獅子」系統の実生は個体によって後代の獅子咲き出現率は異なるようだが、はっきりしたデータが無い。

 ハベナリアの種間雑種は通常ほぼ不稔になる。片親になった原種個体の花粉をかけて「戻し交配」をすることで稀に次世代ができる「こともある」が、2世代以上の交配育種は一般的には容易ではない。

 ところがこの「メデューサ X 白鳳獅子」はダイサギソウの無交配自動結実性が遺伝しており、交配しなくても勝手に種子ができてしまう。実生には遺伝子異常と思われる奇形個体がかなり混じるが、実用上問題ない程度に親と同等の苗が得られる。

 鑑賞的には悪くない花なので殖やして流通させても良いのでは、と思うのだが、現在までのところ実生増殖したという話は某業者さんの実験的播種ぐらいしか聞いたことがない。