Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Evolvulus alsinoides

from Ishigaki island, Okinawa pref. Japan.

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アサガオラクサ。園芸植物の「アメリカン・ブルー」の親類にあたる野生植物。画像は石垣島産個体の種子から育成した実生株、管理人栽培品。

生育良好だと根元から次々に新しい枝を伸ばし、株全体の面積がどんどん広がっていく。しかし株分かれしたり、枝が途中で根を下ろして新しい株を作ったりすることはない。一株は永久に一株のままである。

さし芽などで殖やすのは不可能ではないが、発根しにくく栄養繁殖はそれほど簡単ではない。大株になりすぎると腐って枯れてしまうので、同一個体の長期栽培は本質的に難しい。

長期維持には定期的な実生更新が必須になるが、(受粉可能な時間が限られるのか何なのか理由がよく判らないが)人工授粉しても結実しにくい。管理人の作場では複数個体を並べておいて虫媒で勝手にシブリング結実させて採種している。きちんとデータをとっていないので明言はできないが、自家受粉では結実しにくいような印象がある。

種子は一度乾燥させると強い休眠に入り、簡単には発芽しなくなる。しかし完熟直前、果実に若干青みが残っているうちに採種して(乾燥させないように注意して)「取り播き」にすれば、高温時であれば数日で発芽しはじめる。

適熟の種子が得られれば育苗はそれほど難しくない。自生地から種子だけ採取してきて育苗するのが良いだろう。

上の画像個体から累代した実生株、初花の画像。これぐらいのサイズのうちは山草的でかわいいが、枝はどんどん長く伸びていくので早めに刈りこまないと収拾がつかなくなる。なお、伸びすぎた枝を粗雑にちょん切っても(生育適温、かつ根が健全であれば)根元から新枝が次々に伸びてくるので心配はいらない。

そうやって徒長したら適時刈り込み、根詰まりしないよう定期的に用土をほぐして移植していれば何年かは継続して楽しめる。しかし管理の手を抜くとあっさり枯れる。大株になるにつれて維持しにくくなってくるので、定期的に種子を播いて個体更新しなければ最終的には消費栽培で終わる。

そういうわけで、総合的に見ると栽培をお勧めできる植物とは言いがたい。一般的に言えば育てることは素直に諦めて、自生地で咲いているのを見るべき植物だと思う。

ちなみに花は日中しか咲かないので、育てても昼間に自宅にいないと花を見ることはできない。そういう意味でも園芸対象には不向きである。