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鹿児島市の出版社が出した琉球列島の植物図鑑。

ただし記載されているのは鹿児島県内、奄美諸島の植物が中心で、沖縄特産種は一部が紹介されているに留まる。アマミテンナンショウ、オオアマミテンナンショウ、トクノシマテンナンショウは全部載っているけれどオキナワテンナンショウは載っていなかったり、アマミマツバボタンは載っているがオキナワマツバボタンは名前だけしか紹介されていない、というように明らかに情報が偏っている。

が、逆に言うと奄美大島産の希少種に関しては(さすがに全種は収載されていないが)かなりレアな種類まで載っている。おそらく書籍では初掲載ではないかと思われる植物も散見される。

樹木、草本、シダまで1冊で網羅し、野外でよく見かける帰化植物も記載されているので、とりあえず名前が知りたい、という初心者にとって非常に有用である。奄美フィールドガイドとしては必携の一冊だろう。 

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欲を言えば写真が小さく、説明も最低限しか書かれていないのが惜しまれる。まあ昨今は名前さえ判ればスマホでいくらでも情報検索できる時代なので、本書は同定に使って、細かい事はあらためて調べていくという使い方が妥当かと思う。

余談ながら、奄美大島は自然遺産登録を狙って野生生物保護への熱意が急上昇しており、条例でレッドデータ種は一律に採集禁止!盗掘者は見つけしだい処す!もしオークションで売っていたら即通報!という感じになっている。ちょっと怖いぐらいである。植栽してあるハイビスカスまで、外来種だからと排除しはじめた。

一方で沖縄本島のほうは、自然保護?何それ美味しいの?といった感じで乱開発が進行中である。住民の利便性を考えると開発イコール悪とは言い難い部分があるが、どう見ても土建屋が一時的に儲かるだけの、負の遺産が残りそうな開発事業がそこかしこで行われている。加えて盗掘も野放し状態、というか採らなくてもそのうち跡形もなくなるという状況が現在進行形でどんどん積み重ねられている。採集の是非を語る以前にいろいろ問題ありすぎである。この差はいったい何なのだろうと思う。