from Okinawa island, Japan.
サダソウ。画像個体は日陰栽培で少々徒長している。
和名は鹿児島県佐多岬(さたみさき)で見つかったことによるという。公式な名前はサダソウだが、由来から考えてサタソウと呼ぶのが適切のように思われるし、実際にそう記載されていることもある。
(*令和2年追記。「九州の希少植物探訪Ⅰ」(2020、南方新社)によると、「土佐の植物」(1944)に「(幕末に)大隅國佐田(佐多の旧表記)岬で採集(中略)サダサウの名はこれに由来」という記載があるそうで、幕末の頃には「サダ岬」だった、あるいは記録者が地名をサダと読んだためにサダソウになった模様。ちなみに牧野富太郎博士によるタイプ標本は佐多岬産ではなく高知県戸島(へしま)産で、牧野博士はスナゴショウという名前で発表している)
分布は四国以南だが、九州以北では稀産のようだ。沖縄本島では石灰岩地域に局地的に豊産しており、市街地近くの石灰岩の石垣に普通に生えていたりする。一方で自生地域から少し離れると一本も見つからなかったりもする。
ペペロミア属はラン科ほどではないが種の多様性が著しいグループで、ツル性・木立性・着生下垂種に多肉塊根種までバリエーションが豊富。園芸植物としても人気があり、少し大きな園芸店であれば観葉植物コーナーに1種や2種はペペロミアが見つかる。
本種も観葉植物になりうる素養はあるのだが、無地葉で地味なためそれほど人気のある植物ではなく、園芸流通はほとんどない。
果実のアップ。花は微細で目立たず、果実も砂粒以下の大きさで、花穂の表面に間隔をあけて並んでいる。拡大してみると黒胡椒の粒に似ていて、コショウ科であることを納得する。
ちなみに形はコショウに似ているが味は凡庸で、若干の辛味はあるようにも思うがほぼ無味。そもそも果実が微細すぎて食用にできるほど集められない。植物体にも特記すべき風味はなく、サラダにすれば多肉質で歯ざわりは面白いと思うが、生育が遅い植物なので食用に向いていない。大量に食べた場合の食毒も不明。