Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

オキナワチドリ古典品種 '白馬'

Amitostigma lepidum 'Hakuba'

from Amami island, Japan.

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オキナワチドリ「白馬」。昭和60年発刊の「野生ラン変異事典」(栃の葉書房)で初発表された、オキナワチドリ最古参品種の一つ。昭和50年代末に奄美大島で発見されたと伝わっており、現時点で30年以上も栽培されていることになる。

業者の通販リストなどに何度も載っているが、性質がやや弱く(といっても沖縄本島産の標準的野生個体よりも丈夫なのだが)ほとんどの栽培者は入手しても絶やしてしまっているようだ。野生ランの大ベテランと言われるような趣味家が「たかがオキナワチドリ」と舐めてかかって全滅させている事例を何件も見聞きしている。

オキナワチドリの栽培に技術的な難しさはないのだが、管理に手間がかかって面倒くさいので、ほとんどの方は何十年も世話を続けるモチベーションが続かないようだ。短期的であれば栽培容易と言って良いランなのだが、大部分の人は「花が咲いたらゴール」でそこから先は飽きて駄目にしてしまう。

ブリーダーの場合は花が咲いた時点がスタート、種親は遺伝子資源として大事にキープしておくのだが、そういう感覚の趣味家はきわめて少ないらしい。

 

outcross seedling of 'Hakuba'

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「白馬」系の実生後代。一般栽培家は花色の違いには敏感だが、それ以外の差異にはほとんど気づかない。花の大きさも多少の違い程度だと判らないし、花型などはほぼ眼中に無い。白花の場合これ以上は色をいじりようが無いので、花型を改良しても希求力は乏しいようである