Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Amitostigma lepidum 'Spotless form'

'Miyarabi'

from Okinawa island.

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オキナワチドリ「美童」(みやらび)。品種名は琉球語で「美しき乙女」を意味する。亡き師匠が20年以上前に選別した品種。性質が弱く、人気のある品種でもないので管理人以外に今でも栽培している方がいるか不明。

栽培環境によっては、唇弁先端がわずかに赤くなる。それを見た某氏が「すげぇ!虹(ウチョウランの旧銘品。唇弁が覆輪状に発色する)みたいだ!これは貴重だよ!殖やして殖やして~~!」とハイテンションになった。

管理人の目にはそれほど騒ぐような花に見えない。が、某氏は植物育種で日本有数の実績のある、売れ筋商品の開拓に定評のある人物。そういう方のお奨めだし、まあ試しにやってみるのも一興・・と、「プロジェクト虹」をスタートさせたのが15年ほど前。

 

outcross seedling of 'Miyarabi'

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で、現在は後代実生がこういう感じになっている。予想したよりも派手になってきて少々困惑している。「美童」を見て、こういう花を生み出す資質があると見抜ける方はどれだけいるだろうか?

つまるところ育種の素材というものは、栽培流通している株の中にいくらでも存在している。あとはそれを拾い出す目があるか、育種する根性と時間があるかどうかだ。

言うまでもないが、この個体は育種のゴールではなく通過点にすぎない。それゆえ品種名をつける予定も無く、ラベルには交配記録以外は「無点花」としか書いていない。

しかしまあ何というか、園芸のプロは育種で拾うべき特徴を良く理解しておられる。管理人自身にはこういう方向性で育種を進める発想はまったく無かった。まぁ、そそのかした某氏ご本人は軽い気持ちだったろうし、そういう会話があった事をもう覚えておられないのではないかと思うが(笑)