Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Traditional Sweets of Ryukyu Kingdom

'Kippan'

This sweets made from Citrus keraji var kabuchii 's fruit.

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知人からの土産。琉球王国伝承菓子・橘餅(きっぱん)。
 
 沖縄在来の柑橘類、カーブチーの実を煮詰めて練り固め、砂糖衣をかけたもの。300年ほど前から作られていると言われる古い歴史のお菓子。一般的な食べ物で一番近い味のものはオレンジピールかと思うが、それよりも甘さはひかえめで軽い苦味がある。香りはオレンジともライムとも違う沖縄柑橘独特の、シャープでありつつもマイルドな感じ。細かく切って香りを楽しみつつ、飲み物と共にちびちびと食する。デザートというよりも、おつまみ系に近い。
 本来はカーブチーの交配親であるクネンボ(ミカンやハッサクの交配親でもある歴史的重要柑橘)が主材料のようだ。しかし害虫ミカンコミバエの発生のため大正時代に柑橘類の県外移動が禁止になり、その時代に栽培数が激減。昭和30年にコミバエは根絶されたが新規栽培木はタンカンなどに置き換えられてしまい、現在ではクネンボ生産量はゼロに近いらしい。
 
 余談だが、昨年に奄美群島にコミバエが再侵入して果実類の島外輸送禁止、全量自主廃棄が決まって大騒ぎになっている。以前は根絶まで12年を要したそうで、果樹農家は死活問題になっている模様。沖縄も他人事では無い。