Amitostigma’s blog

野生蘭と沖縄の植物

Pterostylis X furcillata

from Australia.

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 ラン科プテロスティリス属・自然交雑種フルシラータとして国内流通している植物。今は亡き草友から20年以上前にもらったもの。

 プテロスティリス属はどの種もよく似ているうえに、しばしば誤名で流通するので管理人の知識では正確に同定できない。同種異名、異種同名、種間交雑種が原種として流通しているなど、整理不能なぐらい混乱している。

 プテロスティリス類には佃煮にするほど殖える種類と、ほとんど増殖しない種類がある。中には菌依存性が高く、現産地でも栽培至難とされているものもあるようだ

 佃煮タイプのいくつかは原産国オーストラリアから北半球各国に導入され、日本でも生育時期を逆転馴化させたものが増殖流通している。探せば10種以上が入手できるが、導入されて長年経過している種類でも、それほど普及している気配はない。

 短期的に見れば増殖容易だが、簡単だと思って油断すると、ささいな管理ミスが原因で一気に全滅する。栽培が手抜きしづらく、長期間育てようとすると予想外に手間がかかる(面倒臭いだけで、技術・環境的な難しさはない)のが普及しない要因の一つだろう。

  本種は年に3倍以上(うまくいけば5倍くらい)に殖える。増殖率からすればとっくに一般普及していてもおかしくないが、ほとんど流通品を見かけない。殖やしているのがごく一部のマニア&特定の業者に限られるので、流通量は非常に不安定。

 この属は供給元が熱心に殖やしている時には転売されて全国的に流通するが、いつでも手に入ると思っていると栽培元が撤退して、ぱったりと見かけなくなる。まあいろいろな意味で面倒な植物ではある。