Arisaema heterocephalum subsp. okinawense.

continue from 15/07/2015.

Female flower in 2012.

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オキナワテンナンショウ雌花、2012年12月。雌花は葉より下に咲く。

 

Pistil

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仏炎苞を切り取って、雌花の柱頭を露出させた画像。

緑色のトウモロコシのような部分が果実になる。粒の中央にある白い点が花粉を受け取る柱頭(メシベの先端)。てっぺんにあるトゲ状の部分はただの飾りなので無視する。

 

Stamen

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雄花の葯胞。成熟すると紫色の粒が割れて灰色の花粉がこぼれ出てくる。それを爪楊枝や細筆ですくいとって雌花の柱頭につける。

交配自体は難しくない。しかし雄花と雌花が同じ年に咲いてくれるとは限らないし、花の成熟する日も微妙にずれる事が多い。雄花と雌花が同時に成熟してくれないと、花は咲いていても交配した時に適期を過ぎていて、一粒も種子ができない事がある。わが家では雄花のほうが早く咲く傾向があるので、花粉を採取して冷蔵保存しておくなどの方法もあると思うが、まだ試したことはない。

 

today fruit.

crossing in 2014.

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昨年末に交配した果実。無事に夏を越した。このまま順調にいけば12月頃に完熟する。

 

mature seeds.

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昨年採れた完熟種子。本土産の普通のテンナンショウより種子が一回り以上大きい。まだ未熟な状態だと白色~白色地に黒い斑紋、完熟すると全体的に黒くなる。多少未熟でも発芽は可能のようだが、完熟しても発芽抑制が生じたりする事は無いので、できるだけ成熟させてから採種するほうが良い。

こういうパーフェクトな種子が得られた場合はほぼ100%発芽するが、発達の悪い種子しか得られなかった時は播いても高率で腐ってしまう。

 

seedlings.

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テンナンショウの中には地下で発芽して一年過ごし、翌春になってから葉を出してくるものもあるが、本種は採り播きにすれば1~2ヶ月で発芽する。右の株の根元・左側に写っているのは球茎でなく種子。まず根が出てきて、次に根の根元を破って葉が出てくる。

 

sowing in  12/2014

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播種後約1年。

 

sowing in 12/2013.

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播種後約2年。幼株の新球茎は地下に向けて斜めに潜りながら生長していくので、形が均等でない。

3Years after sowing.

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3年目で1株だけ初花が咲いた。管理人の栽培技術だと花が見られるようになるまで4~5年はかかるようだ。大株にならないと雌花は咲かないので、種子が採れる体力がつくまで育つには播種してから7~8年ぐらいは必要だろうか。

本種はテンナンショウとしてはデリケートなほうで、生育中に置き場所を変えたり植え替えたりすると地上部が溶けて休眠してしまうことがある。また肥料好きだが肥料負けもしやすく、急いで育てようとして肥料を与えすぎると逆効果になる。

観賞価値がそれほど高い種類ではないので、日本産テンナンショウ全種コレクションを狙っているようなイカれたした園芸マニアでもなければ本気で栽培してくれない。予備知識も無いのに何でも欲しがる初級ガーデナーを考慮に入れなければ、20球もあれば日本全国の園芸需要は満たされてしまうのではあるまいか。そんなものをなぜ殖やしているのか自分でも謎。

本来なら沖縄の某植物園にでも増殖プロジェクトをお願いしたいところだが、こういう面倒なものを育てましょうと言うと・・おっと誰か来たようだ。

*2017年追記:本種は平成29年度に特定国内希少動植物種に指定されることになった。所持・栽培に関しては禁止されないが、指定後は許可証を持つ業者以外から入手することは違法となる。