Lilium callosum var. flaviflorum

from Okinawa island, Japan.

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キバナノヒメユリ。ヒメユリの黄花ではなくノヒメユリ(スゲユリ)の黄花変種。漢字で書くと「黄花の姫百合」ではなく「黄花・野姫百合」。まぎらわしいのでキバナスゲユリと呼ぶ人もいる。

背が高くて倒伏しやすく、ススキ草原のように草丈のある植物が茂っている場所でないと生育できない。かといって植生遷移で樹木が茂ってしまうようでも生育できない。分布の中心は中国や朝鮮半島の大草原で、日本では九州と沖縄の風衝草原など、非常に限られた場所に細々と隔離分布している。母種のノヒメユリ(オレンジ色)は四国などにも見られるようだが、沖縄には黄花変種しか無い。

自生環境が特殊なので野生では絶滅寸前で、離島などに行かなければ見ることは難しい・・と思われていたのだが、2008年に那覇市内の市街地で自生しているのが見つかって大騒ぎになった。

その後、地元の公民館で人工増殖苗を配布して地域の人達に育ててもらう活動も始まり、地域ぐるみで保護活動がされているようだ。

苗を配ることで野生個体の盗掘が防がれ、啓蒙活動にもなり、地域サービスとしても賞賛すべきもので、現実的に望める保護活動としてはほぼベストと言っても良い。

が、キバナノヒメユリは個体寿命が比較的短く、ウイルス耐性も強くないので同一個体を何十年も育て続けるのは難しい。実生が容易なので交配して種子から育てれば簡単に殖やせるが、自家不和合、つまり自家受粉だと結実しない。実生更新には別系統の交配親が必要になる。ところが1株あればいいや、殖やしたければ株分けすればいい、と思っている栽培者がほとんどのようで、実生しようとせず枯れるまで漫然と育てている場合が多いように思う。偏見かもしれないが、ほとんどの方々は珍しいから栽培体験してみたい、という程度の軽い気持ちで手に入れているだけで、生育域外保全のため責任持って増殖を!などと本気で考えてはいないだろう。

仮に複数株があっても、兄弟姉妹間で交配を続けていると近交弱勢で育ちにくくなり、稔性がどんどん下がってくる。もし本気でやろうと思うなら、DNA解析で個体間の血縁を調べ、近親交配にならないよう血統書を作りながら増殖を進めるのが望ましい。

全個体ジェノタイピング基づく生物多様性に関する研究

10年前にはDNA解析にものすごい金額が必要で、国から予算をもらった研究者でなければ手が出せる分野ではなかった。しかし解析技術が怒涛のごとき勢いで進歩改良され、解析コストがすさまじい勢いで安くなりつつある。現在では犬や猫のブリーダーが種親の遺伝子検査をするのも常識になってきているし、潜在需要がきわめて多い分野なので企業の技術開発への力の入れっぷりもハンパない。10年後には生物全般のDNA解析が個人趣味家でも利用できる値段になっているかと思う。

しかし仮に遺伝子解析が1000円でできるようになったとして、栽培者は自分の栽培している植物のDNA解析をするだろうか? 

管理人は、大多数の趣味家は興味をもたないと予想している。遺伝子管理を必要としているのはブリーダーだけで、消費娯楽栽培にそんなものは必要ないからだ。野良猫の餌やりおばちゃんに猫の遺伝子解析をする理由はない。

一般的な園芸趣味とは消費するだけの食い潰し型娯楽で、生産者からの供給があって初めて成立する。花が咲いている時だけ見て楽しみ、枯れたら捨てて新しい花を買ってくればよい。いくら枯らしても生産者が毎年新しく供給してくれるので、自分で殖やす必要がない。育てているものがどういうものなのか、という細かい知識も必須ではない。小難しいことを考える義務はないし、考えなくても楽しむことに支障はない。栽培技術が皆無の方が、切り花感覚で楽しんでいる場合も珍しくはない。

が、キバナノヒメユリは絶滅危惧種である。イリオモテヤマネコを人工保育して猫好きおばちゃんに里子に出したが、子孫を残さずに全滅・・という状況を想像していただきたい。草と中型哺乳類では増殖難易度が異なるので同列には語れないが、イメージ的にはそういう感じではないか。

まあ、本種のように生息域が保全されていて、人工増殖施設も存在している場合には、増殖して外部に配られた個体が死のうが生きようが種の存続にとっては無関係だ。皆が楽しんで、不快に思う人もいないのなら消費娯楽栽培でも文句を言う要素は何一つ無い。誰にも興味を持たれず、存在すら知られずに絶滅していくよりも、人間の遊び道具として利用価値を認められ種族が存続していくほうが良い、と管理人は思っている。(異論は認める)

それでも、ふと考えてしまう。

管理人を含めて、愛好家の「育てている」と称する行為には、「育てている」と胸をはって言えるほどの内容が伴っているのだろうか、と。

Cardiandra amamiohsimensis

from Amami island,Kagoshima pref., Japan.

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アマミクサアジサイ奄美大島の渓流沿いに自生する奄美固有種。

クサアジサイ属は本土から沖縄、中国南部、台湾にかけて分布する東アジア特産属。本土のクサアジサイ西表島のオオクサアジサイにはアジサイっぽい装飾花(中性花)がついているが、アマミクサアジサイは装飾花が無いのでちょっと地味。

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アップにするとなかなか美しいが、遠目で見ると花が咲いているのかどうかも判りにくい。

あまり一般受けする花でもないと思うが、近年ヤマアジサイの栽培がプチブームになってから、日本産アジサイ類をコレクションしたがる人が出てきた。本種もコレクトアイテムとして山野草業者がたまに販売していることがある。

栽培は難しくない。本土で無加温越冬させた場合は地上部が全部枯れてしまうそうだが、軽く凍結する程度までは耐え、翌春に新芽が出てきて開花もするらしい。株分けなど栄養繁殖も容易。市販されている個体は栽培下で増殖された同一クローンではないかと思うが、確証は無い。もっさりと茂って場所をとるので、複数株を探してきて交配増殖しようという気もおきない。こういうものは植物園に保存増殖をまかせておくほうが良いように思う。

Habenaria rhodocheila complex hybrid.

Habenaria xanthocheila X Hab. erichmichaelii.

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ハバナリア・キサントケイラ(黄色)× エリミカエリ(ピンク)。色がやや淡いことを除けば、ロドケイラ種群のオレンジ個体群とほとんど区別がつかない。オレンジは赤系と黄色系の重ね色だと解釈して良いのだろうか?後代で形質分離するのか気になる。

ロドケイラ種群内での交配種、および近縁種のカーネアとの交配種には稔性があるので、さらに交配を進めて色彩変異のバリエーションを増やしていくことも可能ではあろう。

が、熱帯ハベナリアは日本の気候に合わないので長生きさせにくく、いくら殖やしても最終的には消費栽培で終わる。というか地生蘭は(一部に例外もあるが)一般的に個体寿命が短く、積極的に実生更新しないとそもそも系統維持が難しい。

寿命が短いと判っていて高額で買う趣味家はほとんどいない。地生蘭を買う人の中には、長く育てられると思っている勘違い初心者、あるいは育てられなくても買うこと自体が楽しい買い物中毒の人もいるだろう。が、数として多いのは最初から消費栽培が前提の、お気楽消費者ではあるまいか。

枯れると思いつつ買う=枯れても惜しくない金額のものしか買わない。栽培にも金をかけないかける気もない。その気になればそこそこ長生きさせられる種類でも、本気で育てる気がないので消費栽培に成るべくして成る。使い捨て、食いつぶしていくだけなので業者が生産してくれるか、野生から搾取しつづけなければ持続できない趣味だ。

しかしラン科植物は実生で殖やすと手間と時間がかかるので、質より値段を気にするような顧客層を相手に播種生産したら商売にならない。結果として販売流通するのは

1:栄養繁殖で殖やせて、一般花卉として薄利多売できるもの(トキソウサギソウなど)

2:国外で生産したものを輸入転売している場合(韓国実生のナゴラン・フウラン、洋蘭全般)

3:マニアが展示会用に買ってくれる高額品種=実生してもコスト割れしないもの(高級ウチョウラン、高級エビネ、錦蘭、洋蘭の審査用品種など)

4:個体寿命が長く、実生更新の必要性が相対的に低いラン(シラン、東洋蘭、長生蘭、富貴蘭など)

5:元手のかかっていない山盗り株を叩き売りしている場合(小型着生蘭、地生蘭の大部分)

のどれかになる。(奇特な業者がほとんど趣味で殖やして売るケースもあるが、そういうのは赤字なので継続しない。一時的に普及しても消費栽培のほうが多いため短期間で消えていく)

ハベナリア類がどれに該当するかは解説しないが、いずれにしても国内で長期維持している人をほとんど見かけない植物ではある。

Ligustrum tamakii

from Yonaguni island, Okinawa pref, Japan.

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トゲイボタ。沖縄の一部離島に自生するモクセイ科の常緑低木。

海岸や山地の風衝地で地面に張り付くようにして育つ。盆栽樹としてなかなか秀逸な樹種だが、樹幹が古びにくく短期間で風情を出すのが難しい。越冬温度に気をつければ本土でも栽培は難しくないようだが、見た目の美麗さ、珍奇さに欠けるので、育てている人はほとんどいないようだ。

業者が積極的に増殖していないので入手自体も易しくはない。が、沖縄本島では某植物園が増殖し、たまに頒布しているので本島内では栽培品が見られる。

ちなみに与那国島の自生地では近接地に自衛隊駐屯地が建設され、悪い影響がないかと心配されている。まあ太平洋戦争の時のように戦火で焼け野原になることに比べたら、影響としては限局的なのかもしれないが・・

Habenaria linearifolia

seedling from Nursery.

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オオミズトンボ。

昨日のオオスズキサギソウ(仮称)と同じ場所で栽培されていた。某業者さんが北関東産の個体から実生増殖し、数年前から販売している系統だそうだ。

沖縄では言うまでもなく栽培不可能だが、本土であっても育成は非常に面倒らしい。

 

性質が繊細で、栽培地の気候が合わない場合にはしだいに弱って枯れる。

環境が合っても栽培用土が適当だと枯れる。

用土が最良でも日照管理が不適切だと枯れる。

日照管理がベストでも肥料が合わないと枯れる。

肥料が適切でも病虫害で枯れる。

病虫害対策をしても台風で折れる。

天候対策をしても水湿管理が狂って枯れる。

完璧に世話していても気を抜いた時に枯れる。

枯れずに殖えていても、そのうちランの個体寿命が来て同時に育ちが悪くなってくる。

個体寿命が来なくても個人栽培の管理力はいずれ尽きる。

誰かに託そうとしても、恐ろしく面倒な草を育てるのは普通の人には無理。

世話できなくなったら三日で壊滅、一人で何十年育てても何も残らない残せない。

 

栽培が難しいので、増殖して販売された事例はほぼ皆無ではなかろうか。少なくとも平成になってから一般向けに商業流通したのは、上記業者さん(鈴木吉五郎翁のお弟子さん)の実生生産品だけだと思われる。

 

オオミズトンボの自生地である湿性草原は開発で消滅しやすく、開発されなくても地下水低下による乾燥化や、植生遷移で生育できない環境になってしまうことが多い。しかも栄養繁殖率が低く、個体寿命もそれほど長くはない。基本的には実生で個体更新しながら存続している植物なので、実生が生育できる環境(表土が攪乱された半裸地)が無くなると個体群が維持できない。おまけに近親交配させると近交弱勢がおこり、稔性が著しく低下するので個体数が一定数以下になると加速的に衰退していく。

保護されている自生地でも、すでに個体群を維持できる限界数以下になってしまった場所があると聞いている。現状では各自生地が日本各地に遠く分断されてしまっているので、虫などが花粉を運んで遺伝子交流が行われる可能性はゼロに等しい。

 

ということで、あらためてオオミズトンボの保全栽培について考えてみる。近い将来の国内絶滅にむけてまっしぐらの状況ではあるが、2016年現在であれば複数系統の親個体を見つけることは(至難ではあるが)研究者などのコネを総動員すれば必ずしも不可能ではない。栽培されている個体に野生オオミズトンボの花粉をかけて実生を育成すれば、少なくとも次世代での近交弱勢は回避されるだろう。丈夫な苗がたくさん作れるかもしれない。

が、その先のビジョンが何も見えてこない。自生地そのものの存続が怪しいのだから、自生地への植え戻しが検討しづらい。栽培難度が高すぎて、園芸植物化して残すにも無理がある。近交弱勢を永続的に回避するには数十株単位で保存栽培せねばならないが、大量栽培は個人には労力的に難しい。大勢で分散管理しようとしても「まともに」育てられる人は全国でも数える程度で、栽培グループ結成は絵に描いた餅。植物園などに期待しても、栽培担当は委託された造園業者だったり、バイトのおばちゃんだったりするので、ランのことに異常に詳しい指導技官でもいない限り育成できるような技量はない。(理事長と看護婦と検査技師がいて医者のいない大病院、みたいな状態)

当面、生産苗をリリースした業者さんが種親として、まとまった個体数を維持栽培しておいてくれることを期待するぐらいしか思いつかない。その先のことは・・はてさて。

ま、生物の保護などというものは、財団でも作って活動するレベルでやらない限り、どうにもならぬものではあるのだろう。

Pectabenaria 'Unregistered'

 Pecteilis radiata X Habenaria linearifolia

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サギソウ×オオミズトンボ(別名サワトンボ)某植物園のバックヤードで撮影。沖縄では自然気候下で栽培できない植物の一つ。

サギソウとミズトンボの交配種であるスズキサギソウ(Pectabenaria Yokohama: Pecteilis radiata X Habenaria sagittifera)に酷似するが、花粉親が異なる。和名が無いようなので、オオスズキサギソウ、略してオオスズキと仮称している。

 other plant.

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上記と同一果実からの姉妹株。個体によって唇弁の広がり方や曲り方に若干の個体差がある。

サギソウ×ミズトンボは、 昭和時代に有名だった園芸店、横浜・富岡「春及園」の園主、鈴木吉五郎翁が大正時代末に人工交配で初作出し、前川文夫博士の著書「原色日本のラン」(昭和46年初版)において「スズキサギソウ(Habenaria Yokohama)」という名前で紹介された。その後秋田県などで自然交雑個体が発見され、その個体の増殖品&最近になって再交配された人工個体が、きわめて少数ではあるが現在も流通することがある。

サギソウ×オオミズトンボも同様に、大正時代末に鈴木氏が作出している。

 

from 'Egret Orchid Growers Society Proceedings Vol.2 : 1/3/1965

crossbreed by Kichigoro Suzuki.

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こちらの白黒写真は鷺草保育会・年会報「鷺草」第二号(昭和40年3月1日発行)収載「サギソウ交配」鈴木吉五郎氏の記事からの引用。本文も一部転載。

「あの完成された姿からはより以上のものは簡単には出まい悪口を云えば出来すぎた姿態だから、むしろくずして変化を求めたらどんなものかと(中略)はや四十余年前ともなろう、サワトンボとミヅトンボを幸い常時手持ちして居るから利用した、これが両者より何か変なものが作出されたが、(中略)不稔と見え孫を求めることは出来ずに居る。」

今の若い方は鈴木吉五郎という名前を聞いたことが無い方のほうが多かろうが、ハエトリソウの「鈴木系」とかスズチドリ、スズキスミレ、トミオカスミレ、アマナシラン(Bletilla Yokohama)、富貴蘭の「春及殿」などなど、いろいろな植物の作出・選別に関わっている方である。というか、山盗り消費園芸が当たり前、ウチョウランの栽培法すら確立されていなかった時代に野生ランの人工増殖&園芸化を提唱し、しかも実際に鉢播きで難物のランの実生を次々と成功させ、今なお商品として通用する「山草としての美意識」を追求した品種を残している先駆性と栽培センスは尋常ではない。

なお、鈴木吉五郎氏の評伝についてはこちらのサイトが詳しい。

リンク:安庵様「蘭と人の話」「す」の項

http://www.hat.hi-ho.ne.jp/kerrysan/bujin13.html

が、鈴木氏のオオスズキは鈴木氏が亡くなると絶えてしまったようだ。

その後、昭和の一時期に、再交配されたオオスズキを長野のマッド 非凡な育種業者、O川氏が培養増殖して販売していたことがある。

from 'The Wild Orchid Journal 03/1993'

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こちらの画像は月刊誌「自然と野生ラン」1993年3月号、O川氏の記事からの引用。それなりの個体数が販売されたようだが、これらも現在生き残っているという話は聞いたことがない。オオスズキサギソウ(仮称)が平成になってから流通しているのはネットオークションなども含め、一度も見たことが無い。

前述の現存個体は最近出回っている実生生産オオミズトンボを親に使い、再々交配されたものだそうだが、2016年現在、一般流通はしていない。いずれにしても栽培品としてはそう長くは残らないと予想する。ハベナリア類はウイルス耐性が乏しいので、実生更新できないと系統維持が難しいからだ。

O川氏の解説文によると

「稔性はほとんど無く、交配させたものの内の100莢近くの中から、1粒の種子のみ発芽しました」

との事で、ほぼ不稔と考えて良いかと思う。

なお、オオスズキのセルフ実生ではなく、サギソウを戻し交配したF2個体が増殖され販売に至ったように管理人は記憶している。園芸雑誌だったかカタログだったか、どこかで写真公開されていたと思うが、どこで見たのか記憶が定かでなく調べきれていない。お判りの方がいらっしゃればご教授いただきたい。F2個体も消息が絶えて久しく、おそらく現存していないと思われる。 

Vanda falcata(Neofinetia falcata)

from Daito insl. Okinawa pref. Japan.

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ウラン。販売業者の話では、沖縄県大東諸島産の個体から実生増殖したものとの事。

沖縄のフウラン琉球王朝時代から園芸目的で採取されつづけ、現在はほぼ野生絶滅に近い。しかし栽培下では相当数が生存しているようだ。

沖縄では周年屋外栽培が可能で、冬期にも特別な管理をする必要がない。ヘゴなどにつけて屋外につるし、ホースで水をかけておけば普通に育つ。しかも長命な植物で個体寿命が100年以上あるらしく、ウチョウランのように古い品種が徐々に衰退してくるという事も無い(本土フウランには江戸時代から栽培されている品種がある)

もし環境の良い場所であれば、庭木などに活着させれば、まったく世話をしなくてもかなりの年月はそのまま生きている。導入初期にきちんと世話をして完全活着させてしまえば、管理者が死去したりしてもそう簡単に消えて無くなったりはしない。

一般的な地生蘭は管理者が世話できなくなると一週間で壊滅するので、栽培品が何世代も継承されていくことは稀だ。しかしヘゴ付けや庭木付けのフウランの場合、別の栽培者が引き取るまで生き残っていてくれる事もある。それゆえ野生蘭としては例外的に、栽培下での長期生存例がある。(ちなみに鉢植えにすると水分管理が難しくなり、家庭園芸では維持しづらい。上級者でないと根を腐らせて枯らしてしまう)

まあ、生き残っているとは言っても栽培下の県産フウランは来歴が明確でなかったり、明確であっても園芸的に特記すべき特徴の無い並物(本土産と大差が無い)が大部分で、一部の例外を除いて沖縄県外の趣味家の興味を引く個体はない。そのため沖縄本島外で販売流通することはほとんど無いようだ。